2026-07-16 コメント投稿する ▼
カンボジア50MWバイオマス発電支援に巨額予算。国内課題放置の「バラマキ」か
環境省がカンボジアにおけるバイオマス発電プロジェクトへの支援を発表しました。 そのうちの一つが、カンボジアのコンポンスプー州で計画されている「50MWバイオマス発電プロジェクト」です。 このプロジェクトと同時に、チュニジアにおける「75MW陸上風力発電プロジェクト」も採択されています。
環境省発表、カンボジアでの「JCM」支援事業
日本の環境省は、2026年7月16日付の発表で、カンボジアで実施される温室効果ガス(GHG)削減の取り組みを支援すると明らかにしました。これは、日本とパートナー国が技術や資金面で協力し、実現したGHG削減・吸収量を両国の貢献度に応じて配分する「二国間クレジット制度(JCM)」を活用したものです。
今回、書面審査およびヒアリング審査を経て、パートナー国との合意が得られた2件が、第10回および第11回採択分として選定されました。そのうちの一つが、カンボジアのコンポンスプー州で計画されている「50MWバイオマス発電プロジェクト」です。このプロジェクトでは、日本のイーレックス株式会社が代表事業者となり、50MW規模のバイオマス発電所を導入する予定です。発電された電力は、カンボジアの国有電力公社(EDC)に売却され、化石燃料由来の電力の一部を再生可能エネルギーに代替することで、GHG排出量の削減を目指します。想定されるGHG削減量は年間75,669トンCO2とされています。
このプロジェクトと同時に、チュニジアにおける「75MW陸上風力発電プロジェクト」も採択されています。これらの国際的な環境協力は、日本政府(高市早苗総理大臣)が進める外交政策の一環とも言えます。高市政権はこれまでも、カンボジアの人材育成支援に約4億円、教員養成大学設立支援に11億円といった無償資金協力を行っており、カンボジアへの支援は多岐にわたっています。
JCM制度の実態、透明性と効果測定の甘さ
二国間クレジット制度(JCM)は、表向きには「日本の技術や資金を用いて相手国のGHG排出削減に貢献し、その成果を共有する」というクリーンな仕組みのように聞こえます。しかし、その実態は、日本の税金を海外に投じ、そこで達成されたGHG削減量を日本の排出量削減目標に算入する、という側面が強いのが実情です。
問題は、この制度が明確な重要目標達成指標(KGI)や重要業績評価指標(KPI)に基づいた厳格な評価なしに進められている点にあります。今回想定されている年間75,669トンのGHG削減量も、あくまで「想定」であり、プロジェクトが計画通りに実施され、その効果が正確に計測・検証される保証はありません。もし、目標未達であったり、想定外のコストが発生したりした場合、その損失はすべて国民の税金によって賄われることになります。
さらに、この制度が国内での排出削減努力を怠る口実になっていないか、という懸念も払拭できません。日本国内では、再生可能エネルギーの導入目標達成に向けた課題が山積しており、国民は電気料金の高騰という形でその負担増に直面しています。そのような状況下で、効果の不確かな海外支援に巨額の予算を投じることは、国民の理解を得られるものでしょうか。
国内エネルギー問題の放置と国民負担
日本国内では、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組みが進められていますが、その道のりは決して平坦ではありません。太陽光発電や風力発電の設置場所の確保、送電網の整備、そして安定供給を支えるための技術開発など、多くの課題が残されています。特に、近年頻発する自然災害への対応や、エネルギー安全保障の観点からも、国内におけるエネルギーインフラの強靭化は喫緊の課題です。
にもかかわらず、環境省や日本政府は、これらの国内課題への対応に十分なリソースを割くことなく、カンボジアのような海外のプロジェクトに多額の資金を投じています。これは、国民生活に直結する国内のエネルギー政策や環境対策を後回しにし、国際貢献という美名のもとに税金を浪費していると批判されても仕方がありません。
高市政権が掲げる「新しい資本主義」や「経済安全保障」といった政策目標との整合性も問われます。国内産業の育成や国民生活の向上を最優先すべき時に、効果測定が曖昧な海外援助に注力することは、政策の優先順位が誤っているのではないか、という疑念を生みます。
厳格な評価なき海外援助は「バラマキ」
今回のカンボジアにおけるバイオマス発電プロジェクト支援は、JCM制度のもとで進められますが、その効果や費用対効果に関する透明性の高い情報公開と、客観的な検証プロセスが不可欠です。国民の貴重な税金が投入される以上、単なる「バラマキ」で終わらせるわけにはいきません。
日本企業が海外で事業を展開する際の支援として、一定の意義を見出す向きもあるかもしれません。しかし、それが真に持続可能な開発目標(SDGs)や地球規模のGHG削減に貢献し、かつ日本の国益に資するものであるのか、冷静かつ批判的な視点からの検証が求められます。
今後、同様の国際協力案件が進められる際には、具体的なKGI・KPIの設定、定期的な進捗報告、そして第三者機関による厳格な効果測定と評価を義務付けるべきです。国民は、自分たちの納めた税金が、どのように使われ、どのような成果を生んでいるのかを知る権利があります。