2025-03-28 コメント: 1件 ▼
【大阪府、飲食店の屋内禁煙化を4月1日全面施行】 ~喫煙者の行き場を狭める規制強化、万博を控えた課題も~
条例の概要と適用範囲
大阪府の受動喫煙防止条例は、平成31年に制定されたもので、4月1日から全面施行される。新たに、30平方メートル超の飲食店が対象となり、規定に従わない場合、違反店には過料5万円以下、喫煙者には過料3万円以下の罰則が科される。過去に実施されていた経過措置では、一定の条件下で喫煙を認めていたが、施行後は全面禁煙化が求められる。
禁煙化の影響と売り上げ
禁煙化を実施した飲食店の中には、売り上げが減少した事例も報告されている。大阪・北新地のオイスターバー「ザ・パーティー」は、昨年4月に禁煙化を決断したものの、売り上げは約3割減少したとシェフの岸本清吾さんが述べている。しかし、喫煙室を設置することで、売り上げは回復傾向にあると報告している。それでも、100%の回復には時間がかかるとのことだ。
喫煙者の行き場と路上喫煙
大阪市内では、1月27日から市内全域の路上喫煙が禁止され、喫煙者がその場で喫煙することができなくなった。市内には300カ所以上の指定喫煙所が設けられたが、まだ喫煙所の数は不足しているという声が多く聞かれる。飲食業界関係者からは、喫煙所が不足している現状で、店先での喫煙を禁じることに対して反発の声が上がっている。
また、飲食店業界団体は、喫煙室設置にかかる経済的負担を軽減するための補助金が提供されているが、予想以上に申請が少ないと指摘している。喫煙室設置には自己負担が発生するため、禁煙化を選ぶ飲食店が多くなっているという。
条例施行後の課題と懸念
大阪府の条例施行後、喫煙室の設置を避ける飲食店が増える中、規制を守らない店が競争優位に立つ可能性があるとの懸念も生じている。大阪府内では約64%の飲食店がすでに禁煙化を実施しており、全国的にも禁煙化の進行は見られるが、法令順守の状況には不安が残る。また、路上喫煙の禁止といった屋外の規制に対しては、科学的根拠が不十分だとの批判もある。
万博に向けての課題
2025年の大阪・関西万博を控え、喫煙者に対する規制が厳しくなり、喫煙者の行き場が狭まる状況にある。万博に訪れる外国人観光客にも、日本の独自の路上禁煙をどのように伝えるのか、また、広い市域をカバーするための指導員の人数や体制が問題となる。喫煙者と非喫煙者が共存できる社会の実現には、科学的根拠に基づいた現実的な制度設計が求められる。