2026-03-10 コメント投稿する ▼
阪急摂津市駅付近の「開かずの踏切」解消へ、鉄道高架化事業が本格化
大阪府摂津市と茨木市にまたがる阪急電鉄京都線の摂津市駅周辺で、長年地域住民の悩みの種であった「開かずの踏切」の解消に向けた大規模な鉄道高架化事業が、いよいよ本格的な段階に入りました。 阪急京都線では、この摂津市駅付近の事業とは別に、大阪市東淀川区の淡路駅を中心とした、千里線を含む約7.1キロメートルにわたる区間でも、同様の高架化工事が進められています。
背景
長年の課題「開かずの踏切」摂津市駅は2007年(平成19年)3月に新設された駅ですが、その周辺地域では、駅が開業する前から慢性的な交通渋滞を引き起こす「開かずの踏切」が存在していました。これは、ピーク時には1時間に40分以上も遮断機が下りたままになる踏切のことです。朝夕の通勤・通学時間帯には、遮断機の前で多くの車が長時間待たされ、地域住民の生活に大きな支障をきたしていました。踏切による地域住民の移動の分断は、消防車や救急車の迅速な活動を妨げる可能性も指摘されており、その解消は地域にとって長年の悲願でした。
事業概要
高架化で地域をつなぐこの課題を解決するため、阪急京都線の摂津市駅付近、具体的には摂津市庄屋から茨木市丑寅までの約2.1キロメートルの区間(うち摂津市域が約1.5キロメートル、茨木市域が約0.6キロメートル)を高架化する計画が進められています。この事業により、摂津市駅のホーム自体も高架上に移設され、周辺にあった5カ所の踏切はすべて廃止されることになります。踏切がなくなることで、人々の移動はスムーズになり、分断されていた地域がつながりを取り戻します。
高架化工事に合わせて、駅前広場や周辺道路(側道)の整備も計画されており、駅を中心とした周辺地域のさらなる活性化が期待されています。この事業は、2017年(平成29年)2月に都市計画として決定され、翌2018年(平成30年)2月には事業計画が正式に認可されました。その後、2019年(令和元年)から用地買収が始まり、2023年(令和5年)からは、付け替え道路の建設や、工事予定地から出土する可能性のある文化財の調査といった準備工事が進められてきました。
工事の進め方
仮線方式で安全・効率的に2026年(令和8年)1月には、事業の核となる鉄道工事がいよいよ着手されました。この工事では、「仮線方式」と呼ばれる工法が採用されています。これは、まず現在の線路の東側に、仮の線路(仮線)を設けて電車の運行をそちらに移します。電車の運行が仮線に移った後、現在使われている線路の用地を利用して、高架構造の新しい線路を建設していくという方法です。この方式では、上下線(高槻方面と大阪方面)を片側ずつ進めることで、工事期間中も列車の運行を継続させることが可能になります。高架線路の建設が完了した後、仮線は撤去され、そのスペースなどを利用して側道などの整備が進められる計画です。
今後の見通しと課題
完成への道のりこの壮大なプロジェクトの完成時期については、当初、事業認可当初の計画では2033年度末(令和15年度末)を目指していましたが、現在の進捗状況を鑑みると、遅れる可能性も出てきています。都市インフラ整備には、予期せぬ課題への対応や、地盤、周辺環境への配慮など、多くの時間と労力を要することが少なくありません。
阪急京都線では、この摂津市駅付近の事業とは別に、大阪市東淀川区の淡路駅を中心とした、千里線を含む約7.1キロメートルにわたる区間でも、同様の高架化工事が進められています。こちらの事業では、2031年度(計画10年度)の高架切り替え完了、2034年度(計画13年度)の事業完了が予定されています。しかし、こちらも事業主体の大阪市は、「事業期間の延伸が見込まれる状況」であると公表しており、大規模インフラプロジェクトが計画通りに進むことの難しさを示唆しています。摂津市駅周辺の事業も、安全を最優先に進められる中で、着実な進捗が期待されます。
この高架化事業の完成は、単に踏切がなくなるというだけでなく、地域住民の生活の質の向上、交通事故リスクの低減、そして都市機能の強化につながるものです。分断されていた地域が一体となり、新たな人の流れや経済活動が生まれることで、摂津市、茨木市双方のさらなる地域活性化に大きく貢献することが期待されています。