2025-11-25 コメント投稿する ▼
古着は捨てずに再利用 大阪府とH2Oなど官民16団体がサステナブルファッション協議会設立で8000トン削減目標
大阪府とエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングなど官民16団体は2024年11月25日、使用済み衣類のリサイクルなどに官民共同で取り組む「サステナブルファッション・プラットフォーム協議会」を設立しました。 衣類を単純焼却処分する場合と比較すると、リユースを中心とした再資源化によりCO2排出量を最大約85%削減できるという研究結果があります。
大阪府とH2Oなど官民16団体が衣類リサイクル協議会設立
大阪府とエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングなど官民16団体は2024年11月25日、使用済み衣類のリサイクルなどに官民共同で取り組む「サステナブルファッション・プラットフォーム協議会」を設立しました。この協議会は、2030年度に府内で焼却・埋立てされる使用済み衣類を2020年度比で8000トン削減する目標を掲げ、循環経済の実現を目指します。
協議会には青山商事やシキボウ、住友大阪セメントなどの企業、堺市などの自治体が参加しています。衣類の分野で原材料を再利用して廃棄物を減らすサーキュラーエコノミーを実現するため、官民一体となった取り組みを本格化させます。
「環境のことを考えるなら、古着も積極的に着たい」
「衣類の廃棄量って想像以上に多いんですね、考え直さないと」
「大阪から始まって全国に広がってほしい取り組みです」
「リサイクルボックスが近くにあると利用しやすい」
「CO2削減にも貢献できるなら協力したいです」
年間50万トン超の衣類廃棄という深刻な現状
現在の日本では、年間約82万トンの衣類が供給される一方で、約56万トンが手放されている状況です。このうち約47万トンが廃棄される一方、リサイクルされるのは約13万トン、リユースされるのは約13万トンに留まっています。つまり、手放される衣類の約6割以上が廃棄処分されている深刻な状況があります。
この背景には、ファストファッションの浸透により「安く買って短期間で買い替える」という消費スタイルが定着していることがあります。日本人1人当たり年間約18枚の服を購入し、約12枚を手放しているという調査結果も出ており、大量生産・大量消費・大量廃棄の循環が環境負荷を大きくしています。
ファッション産業全体のCO2排出量は世界市場の約1割を占めるとされ、衣服の寿命を1年から2年に延ばすだけで温室効果ガス排出を年間24%削減できるという研究結果も示されています。このため、使用済み衣類の適切な回収とリサイクル体制の構築は、環境問題解決の鍵となっています。
実証事業を経て本格始動
今回設立された協議会は、環境省が募集した「使用済衣類回収のシステム構築に関するモデル実証事業」の成果を基盤としています。大阪府などは2023年10月から12月、2024年10月から11月にかけて府内で使用済み衣類の回収やリサイクルを実施し、2023年の54日間で約5トンの衣類を回収することに成功しました。
この実証事業では、阪急うめだ本店などに設置された約70拠点の衣類回収ボックスが活用されました。今後はこれらの拠点を継続利用し、回収した衣類を選別して新たな繊維原料として再生するほか、セメント材料としても活用する仕組みを確立します。
選別作業は、国内最大級の選別工場を大阪府泉南市に持つファイバーシーディーエムが担当します。リユース可能な衣類は古着店舗でリセールを実施し、リサイクルが必要な衣類は帝人フロンティアなどのパートナー企業と協力して再資源化・商品化を進めます。
CO2削減効果も期待される取り組み
衣類のリサイクルやリユースには大きな環境効果があります。衣類を単純焼却処分する場合と比較すると、リユースを中心とした再資源化によりCO2排出量を最大約85%削減できるという研究結果があります。また、ファッションレンタルなどの取り組みでも、通常の販売モデルと比べてCO2排出を19%削減できるとの推計も示されています。
協議会では、大阪府が事業連携協定を結ぶEarth hacksが提供する「デカボスコア」を活用し、CO2排出量を可視化する取り組みも行います。これにより、環境貢献度を明確に示すことで、消費者の環境意識向上と行動変容を促進します。
2030年度には年間8000トン以上の衣類回収を目標とし、そのうち年間3500トンを国内でリユース・リサイクル処理することを目指しています。この「大阪モデル」を関西および全国に波及させることで、日本全体の衣類廃棄削減に貢献する構想です。