2025-10-27 コメント投稿する ▼
大阪府が外国人課税案を非公開検討 国籍無差別条項で法的懸念・維新政権
この会議では、外国人旅行者への新たな課税制度の法的課題について検討される予定であり、国籍無差別条項に抵触する可能性が指摘されています。 委員会では、「大阪府が外国人旅行者に対して課税する場合、国籍無差別条項に抵触する可能性がある」という法的見地からの警告がなされています。
日本維新の会に属する吉村洋文大阪府知事の下で進められている観光客受入環境整備事業に関し、10月30日に開催予定の検討会議が非公開で実施されることが明らかになりました。この会議では、外国人旅行者への新たな課税制度の法的課題について検討される予定であり、国籍無差別条項に抵触する可能性が指摘されています。
大阪府観光戦略の転換点
大阪府では、2017年1月から法定外目的税として宿泊税を導入してきました。近年の外国人観光客の増加に伴い、同府は観光客受入環境整備の推進に向けた調査検討を進めており、新たな財源確保策の一環として、外国人旅行者に対する課税制度の導入を検討しています。大阪・関西万博の開催を控え、府内の観光インフラ整備をさらに加速させる必要があるとの判断が背景にあります。
「外国人旅行者への課税は観光政策として重要な選択肢かもしれませんね」
「法的な課題があるなら慎重に進めるべきでは」
「地域住民と外国人旅行者の共存という視点も必要だと思います」
「国籍に関係なく宿泊税を取ればいいじゃん」
「国交省や地元の意見をしっかり聞くべきですね」
今年度に開催された過去3回の会議では、外国人旅行者に対する課税構想について多角的な検討が行われてきました。府が提示した制度案に対し、複数の構成委員から法的問題と実務的課題に関する指摘が相次いでいます。
浮上した法的課題と実務的懸念
検討会議の議事録に記載された意見によると、複数の観点から課題が指摘されています。まず、地域住民との関係では、外国人観光客の来訪がもたらすメリットを地域住民に正しく理解してもらう取り組みが必須であるとの意見が出ています。経済効果の一方的な強調ではなく、観光受入による地域への利益還元を明確にすることが課題として認識されています。
次に、負担の根拠という観点からの指摘があります。外国人旅行者に特別な費用負担を求めることについて、観光地で発生する課題が必ずしも外国人旅行者のみに起因するものではないことから、負担の根拠を明確に示すことが困難であると複数の委員が指摘しています。オーバーツーリズム対策として一見妥当に見える施策も、その正当性の実証に課題を抱えているという判断です。
最も重要な指摘は、国際租税法における原則についてです。委員会では、「大阪府が外国人旅行者に対して課税する場合、国籍無差別条項に抵触する可能性がある」という法的見地からの警告がなされています。国籍無差別条項は、主に租税条約に規定される国際的な原則で、締約国間での国籍の違いを理由とする差別的な課税取扱いを禁止するものです。
非公開決定の背景と国籍無差別条項の意味
10月30日の会議が非公開で実施されることは、こうした複雑な法的問題を孕んでいることを示唆しています。大阪府は、自治体レベルでの課税制度設計が、国家間の租税条約に基づく原則とどのように整合するのか、という問題に直面しているのです。
国籍無差別条項は、OECD租税委員会によって国際的な租税条約の標準モデルに組み込まれた条項です。日本が複数国と締結した租税条約の多くにおいて、国籍を理由とした税制上の差別を禁止する規定が盛り込まれています。外国人旅行者に対する課税が「国籍」という属性のみを根拠としている場合、こうした条約上の原則に抵触する可能性があるのです。
今後の検討課題と政策判断
大阪府の検討会は、観光地における地域住民と観光客の関係、財源確保の必要性、そして国際的な租税法における法的制約のバランスを取ることの難しさを浮き彫りにしています。宿泊税の引き上げなど既存の制度を活用する方法と、新たな課税制度を導入する方法のどちらが適切かは、法的妥当性と政策効果の双方から検討される必要があります。
同府が非公開会議で進める検討は、こうした複雑な課題を整理し、法的問題をどう解決するかについての判断を迫られているプロセスを示しています。