2025-10-23 コメント投稿する ▼
公約大阪万博海外館10億円未払い問題、解体工事にも影響か中小業者が倒産危機
11カ国のパビリオンで30社を超える下請け業者が未払いを訴え、総額は10億円以上に達していますが、解決のめどは全く立っていません。 日本国際博覧会協会によると、2025年9月までに11カ国のパビリオンの下請け業者から未払いの相談がありました。
開幕に間に合わせた代償
京都市内の建設会社社長の男性は2025年9月30日、国会内で記者会見を開き、マルタ館の工事で約1億2000万円が未払いになっている窮状を訴えました。男性は同年6月、元請けの外資系イベント会社GLイベンツジャパンを相手取り、東京地裁に提訴しています。
国家プロジェクトだから信頼して受注したのに、まさかこんなことになるとは思わなかった
訴状によると、2025年2月に契約し、開幕2日前の4月11日頃までに完成させました。工期はわずか2カ月という過酷なものでしたが、GLイベンツジャパン側は工事が遅れたなどとして、請負代金の一部と追加工事費を支払っていないとしています。男性は不眠不休で開幕に間に合わせましたが、その報酬が支払われない状態が続いています。
不眠不休で働いて、幻覚を見る日もあった。地獄のような現場だった
外資系企業が引き起こす連鎖トラブル
日本国際博覧会協会によると、2025年9月までに11カ国のパビリオンの下請け業者から未払いの相談がありました。大半は元請けが外資系企業で、元請けと下請け、あるいは下請け同士でトラブルが起きています。被害者の会の集計では、支払いに影響が出ている業者は30社以上あり、未払い額は十数億円にのぼります。
家賃が払えず住居を追われた。もう命しか差し出すものがない
特に深刻なのは、GLイベンツジャパンが元請けとなったマルタ、ドイツ、セルビア、ルーマニアの4館です。同社はこれらのパビリオンで複数の下請け業者から訴訟を起こされています。セルビア館とドイツ館の下請け業者は2025年8月、合わせて約3億2800万円の支払いを求めて提訴しました。GLイベンツジャパンは一部で和解の動きも出ているものの、係争中を理由に詳細な回答を差し控えています。
工事の仕上がりに難癖をつけて、逆にペナルティを要求してくる。どういう会社なのか
短い工期が招いた悲劇
未払い問題の背景には、極端に短い工期があります。前回のドバイ万博は2021年10月から2022年3月末まで開催され、コロナ禍で1年延期されました。閉幕後に次の万博の準備に取りかかる参加国にとって猶予は3年しかなく、施工業者探しが遅れた上、資材費の高騰や人手不足も重なりました。
国内館は多くが2023年中に着工しましたが、海外館の建設が本格化したのは2024年以降でした。トラブルがあった11館のうち9館は、参加国が自前で建てるタイプAのパビリオンで、国内の大手ゼネコンは受注しませんでした。デザインが複雑で工事が難しく、敬遠されたとみられます。
危機感を強めた大阪府や大阪市は、中小の建設会社に受注を呼びかけていました。建設の契約に詳しい筑波大学の楠茂樹教授は、突貫工事で時間的余裕がないと追加工事が発生した時に契約書を作らず口約束になりがちで、相手が海外企業の場合は文書にない費用は払ってもらえないリスクが高くなると指摘します。
救済拒む行政と万博協会
日本政府は、海外館の工事の代金が参加国側から支払われなかった場合に備え、全額または大半を補償する万博貿易保険を設けていました。しかし、加入対象は元請けのみで、経済状況や政情不安による参加国の未払いを想定していたためです。下請け業者は対象外でした。
万博協会側は融資の相談などに乗っているものの、立て替えや無利子融資などの支援は難しいとの立場です。石毛博行事務総長は2025年10月7日の記者会見で、当事者の間で見解が違う話であり、当事者同士で話をするか別の手段でやるしかないと述べました。
民間同士の問題だから、と切り捨てないでほしい。国家プロジェクトに協力したのに
大阪府の吉村洋文知事も民民で処理されるべき問題として救済に応じていません。被害者の会は国家プロジェクトなので信頼し、難しい工事を頑張ってきたとして、万博協会や大阪府・市に寄り添った対応を求めています。楠教授は、万博協会は短い工期や資材高騰でトラブルになりやすいという予測はできたはずで、業者側に十分注意喚起したかが問われると指摘します。
解体工事でも懸念広がる
海外パビリオンの解体工事が本格化するのはこれからです。解体業者74社でつくる大阪府解体工事業協会は2025年9月26日、万博協会に適切な業者選定や契約を求める上申書を提出しました。すでに加盟社には、口頭での契約を避けるよう注意喚起したといいます。
タイプAの42館の解体工事は、建設時と同様に参加国が実施します。作業自体は建設工事の元請けが引き続き担当するケースも多く、未払いのトラブルが発生すれば建物の解体が進まない恐れがあります。万博協会は、建物の解体後、2028年2月までに土地を返還する契約を所有者の大阪市と結んでいます。大阪市は2026年春に万博跡地の開発事業者を公募する予定で、解体の遅れは跡地の活用にも影響します。
万博協会幹部は参加国に対し、早めの業者確保と解体のスケジュールを定めたガイドラインの順守を呼びかけていくと話していますが、建設工事での未払い問題が解決していない中で、解体工事でも同様のトラブルが起きる懸念が高まっています。
この投稿は吉村洋文の公約「2025年大阪・関西万博の成功と大阪府と大阪市の連携強化」に対する評価として投稿された情報です。この公約は9点の得点で、公約偏差値54.3、達成率は4%と評価されています。