2025-09-03 コメント投稿する ▼
交野市長が新幹線ルートに反旗 地下水源を守る「市民との戦い」を表明
交野市長が新幹線ルートに強い懸念表明
大阪府交野市の山本けい市長は、自身の公式アカウントで「交野市の水道水源の約8割が地下水であるにもかかわらず、その地下を北陸新幹線が通過予定」と投稿し、強い危機感を示した。市民生活を支える地下水脈が影響を受ければ、7万7000人の市民に深刻な影響が及ぶ可能性があるとして、「財界からの圧力には屈せず、最後まで戦い抜く」と明言したことは注目を集めている。
交野市は山間部に囲まれ、古くから地下水を主要な生活水源としてきた。北陸新幹線の延伸計画では、交野市内を通過するルートが検討されており、地下水脈への影響やトンネル掘削による環境リスクが懸念されている。自治体首長が公式に「財界の圧力」と言及するのは異例であり、国の大型インフラ計画と地域住民の生活基盤が正面から衝突する構図となっている。
水源リスクと市民生活
交野市の水道供給は、約8割が地下水に依存しており、地元の生活に直結している。北陸新幹線のトンネル工事による地下水脈の変動は、水量や水質に影響を及ぼす可能性が高く、代替水源の確保も容易ではない。水源の安定供給が崩れれば、生活用水だけでなく産業や農業への波及も避けられない。
これまで全国各地で大型インフラ工事に伴う地下水問題が指摘されてきた。リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事でも、大井川水系への影響が深刻な懸念となり、地元自治体や住民運動が国やJR東海に説明を求め続けている。交野市のケースも同様に、水源保全と高速鉄道建設との調整が焦点となる。
国と自治体のせめぎ合い
北陸新幹線の延伸は、関西圏と北陸圏の経済交流を強化する国家的プロジェクトとして推進されてきた。財界や経済団体は地域経済の活性化を期待しているが、一方で環境負荷や水資源リスクへの対応は十分とは言えない。山本市長が「市民とともに戦う」と公言したことは、国や事業主体に対して一石を投じた格好だ。
ネット上でもさまざまな反応が広がっている。
「地下水に依存している都市でトンネル工事はリスクが大きすぎる」
「経済効果ばかり強調して生活水源の危機を軽視してはいけない」
「市長が住民と一緒に立つ姿勢は心強い」
「大型事業と地域の暮らし、どちらを優先するか政治の姿勢が問われる」
「国はもっと丁寧に説明責任を果たすべきだ」
交野市地下水と北陸新幹線ルート問題の行方
今後、北陸新幹線のルートをめぐる議論は、国と自治体、市民運動の三者間で激しさを増す可能性が高い。石破茂内閣が進めるインフラ整備政策の中で、環境保護や地域住民の安心がどこまで担保されるかは大きな試金石となる。
交野市の地下水問題は、単なる一地方の課題にとどまらず、国の大型事業と地域社会の持続可能性をどう両立させるかという全国的なテーマを浮き彫りにしている。