2025-07-01 コメント: 1件 ▼
二階俊博氏の地元支配に変化の兆し 息子・伸康の出馬に自民分裂、世耕派との確執続く和歌山選挙区
二階俊博“引退後の地元支配”に黄信号
参院選で自民が分裂 息子・伸康の地盤継承に壁
世襲の後継、伸康氏は試練の連続 自民公認でも勝てない“地元の空気”
政界を去った後も、なお地元・和歌山に絶大な影響力を誇ってきた元自民党幹事長・二階俊博氏(85)。その足跡は、13期連続当選という実績に加え、派閥の長として党運営をも左右した“保守本流のドン”として語り継がれる存在だ。
しかし、息子である二階伸康氏(47)への地盤の継承は、決して順風満帆とは言えない。昨秋の衆院和歌山2区補選では、自民の公認を受けながらも、離党無所属で立候補した世耕弘成氏に敗北。その敗戦は、単なる選挙の負けにとどまらず、「二階体制の終焉」の予兆とも受け取られた。
今回の参議院和歌山選挙区でも、自民和歌山県連の拡大役員会で党公認候補に選ばれたのは伸康氏だった。対抗馬となった元有田市長の望月良男氏(53)を82票対46票で下したものの、火種は消えていない。望月氏は離党し、無所属での出馬を表明。しかも、6月の政策発表会では、対立する世耕氏のポスターを掲げ“世耕派”であることをアピールするなど、二階家に対する反発は根強い。
「地元を一族支配する時代はもう終わりじゃないか」
「親の威光だけじゃ選挙に勝てないよ」
「二階さん、まだ裏で全部仕切ってる感じする」
「世襲政治より、今の課題に向き合える人を選びたい」
「自民党って“改革”って言いながら結局いつもこの構図だよね」
「二階vs世耕」構図が再燃 自民党内の主導権争い続く
かつては「政権与党の調整役」として官邸とも太いパイプを持っていた二階氏だが、その地元・和歌山ではかねてより世耕弘成氏との軋轢が続いてきた。自民党和歌山県連を軸に、県政や首長選でも対立の構図が繰り返されてきた。
令和4年の知事選でもこの亀裂は表面化。世耕氏が総務官僚を推すも、二階氏の影響下にある町村会が反発。最終的に、岸本周平氏(元国民民主党)が県知事に就任する展開となった。
そして今回は、望月氏が再び「世耕派」として無所属で選挙戦に挑む構図となり、事実上の「二階陣営vs世耕陣営」の再戦と見る向きも多い。
だが、かつてのような“二階一強”の時代ではない。自民党内でも、派閥の収支報告問題や世襲支配への反発が高まっており、「引退後も地元を牛耳る姿勢」への風当たりも強い。
公認争い後も「ノーサイド」にはならず 苦い教訓活かせず
2月の自民県連役員会では、公認争いを行う候補・役員全員に「結果を尊重し、勝者に尽力する」とする誓約書の提出が求められた。昨秋の衆院補選での保守分裂の反省を踏まえた措置だったが、結果的に“ノーサイド”の約束は形骸化した。
望月氏は敗れた直後に離党を決意し、6月には世耕氏の後押しを公にした。この動きに対して、県連幹部の一部は「敗者がルールを無視して出馬するのはおかしい」と批判したが、有権者の反応は複雑だ。
「むしろ、上から決められた候補を自動的に応援しろという空気の方が時代錯誤では」との声もある。
地元有権者の中には、政治と距離を取り始める層も増えており、こうした“内ゲバ”が続けば続くほど、「政治は自分たちの生活に関係ない」と感じる人が増えるリスクもある。
「政治とカネ」問題の象徴として 二階支配への審判か
忘れてはならないのは、2023年に二階氏自身が「政治資金収支報告書の不記載」問題で全国的な批判を浴び、不出馬を表明した背景だ。自民党の派閥政治とカネの問題は、二階派も例外ではなかった。
その延長線上にある今回の参院選。伸康氏が仮に議席を獲得したとしても、「父親の後ろ盾あってこそ」「不祥事の記憶を風化させるための出馬」と見る有権者は少なくない。
いま求められているのは、しがらみからの脱却と、開かれた政治への転換だ。
地元の思いに真摯に向き合い、新しい時代の信任を得る覚悟がなければ、二階家の支配はここで終焉を迎えることになるかもしれない。