2026-06-23 コメント投稿する ▼
大野泰正元参院議員に罰金60万円 裏金事件初判決も「全容解明」はほど遠い
2026年6月23日、東京地裁は自民党旧安倍派の裏金事件で、政治資金規正法違反の罪に問われた元参院議員・大野泰正被告(67)に罰金60万円の有罪判決を言い渡しました。一連の裏金事件で当時の国会議員への判決は初めてです。ただし起訴された5年分のうち有罪認定は2022年の1年分のみで、大半は無罪とされました。立憲民主党の田名部匡代幹事長は「政治とカネの問題は何も解決していない」と批判し、自民党全体での説明責任を求めました。
自民裏金事件で初の国会議員判決 大野元参院議員に罰金60万円
2026年6月23日、東京地裁は自民党旧安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われた元参院議員・大野泰正被告(67)に罰金60万円の有罪判決を言い渡しました。
元秘書の岩田佳子被告(62)にも罰金20万円が命じられました。一連の裏金事件で当時の国会議員への判決が公開の法廷で言い渡されたのは今回が初めてです。
大野被告は旧安倍派から2018年以降の5年間にわたり、パーティー券販売ノルマ超過分の還流(キックバック)を受け取りながら、計約5100万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして起訴されていました。両被告はこれまで一貫して無罪を主張していました。
5100万円のうち1100万円だけが有罪というのが納得できない。国民感覚からすればすべて説明がつくようにしてほしかった
有罪は5年分のうち2022年分のみ 約4000万円分は「共謀認められず」無罪
東京地裁の福家康史裁判長は、起訴された2018年から2022年までの5年分のうち、2022年分(約1120万円)のみを有罪と認定しました。
2022年分については、旧安倍派から還流分を議員側が主催するパーティー収入に付け替えるよう指示があり、岩田被告が大野被告に報告した上で付け替えを実施した経緯を踏まえ、「両被告が共謀して虚偽記入した」と結論付けました。一方、2018年から2021年の4年分(約4034万円)については「派閥側からの具体的な指示はなく、被告間の直接のやりとりも認められない」として、記載義務を認識していなかった可能性が否定できないと判断し、無罪としました。
福家裁判長は量刑理由として「政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与するという政治資金規正法の目的を害した。社会的影響の大きさも看過できない。政治への国民の信頼にも影響を与えており、責任は大きい」と断じました。
大野被告は判決後の記者会見で「大半の部分は理解いただいたことに感謝申し上げる。ただ一部、真実を理解いただけなかったことは大変遺憾」と述べました。東京地検は「判決内容を十分検討して適切に対処したい」とコメントしました。
田名部立民幹事長「何も解決していない」 安倍氏の還流停止は「正しい判断」
立憲民主党(立民)の田名部匡代幹事長は同日、国会内で記者団に「政治とカネの問題は何も解決していない」と述べ、改めて制度改革の必要性を訴えました。
旧安倍派では2022年4月に派閥会長だった安倍晋三元首相の指示でいったんキックバックが中止されたものの、安倍氏の死去後に再開されたとされています。田名部氏はこの点について「安倍氏が止めたのであれば、それは正しい判断だったと思う。問題意識を持っていたのだと思う」と評価しつつも、「やめるだけでは本来はダメだった。悪しき慣習を正していくために、派閥として『これはやめるべきだ』という認識を共有すべきだった」と注文を付けました。
安倍さんが止めたなら問題意識はあったはず。でも派閥として組織的に正すところまで行かなかったのが問題の本質だと思います
今回の公判では、2022年の還流再開に関し、大野被告が元安倍派幹部の世耕弘成衆院議員(自由民主党を離党済み)から連絡があったと証言しました。旧安倍派の会計責任者だった松本淳一郎氏も、ノルマ超過分を議員側のパーティー収入に上乗せして計上する手法を世耕氏が提案したと証言したと報じられています。
世耕さんの名前が出ているなら、きちんと事実を公の場で明らかにする責任がある。それが政治家の説明責任ではないでしょうか
全容解明にはほど遠く 自民党の説明責任と制度改革が問われる
田名部氏はこの日、「世耕氏の責任だけではなく、自民党全体として派閥における政治とカネの問題を明らかにする必要がある」と強調しました。「誰が言い出したのか、いつから始まったのか、なぜ再開されたのかも含めて全体像を明らかにすべきだ」と述べ、自民党に説明責任を果たすよう強く求めました。
政治資金をめぐる不透明な慣行は、政治を国民のためではなく企業や献金者のための活動に変質させる危険性をはらんでいます。企業・団体献金が政治のあり方そのものをゆがめる恐れがあるという構造的な問題こそが、「政治とカネ」問題の根本にあります。
自民党が企業・団体から多額の献金をもらい続ける限り、こういう問題は絶対なくならないと思う
一連の裏金事件では、旧安倍派・旧二階派(志帥会)・旧岸田派(宏池会)の3派閥で不記載が判明し、国会議員4人を含む計12人が立件されました。今後は元衆院議員・池田佳隆被告の裁判も予定されており、事件の全容解明はいまだ続いています。
罰金60万円で終わるなら、割に合うと思う政治家が出てくる。法律の抜け穴をふさぐ制度改革こそが本当に必要なことだ
自民党全体としての説明責任と、政治資金制度の抜本的な改革への本気の取り組みが問われています。
まとめ
- 2026年6月23日、東京地裁が大野泰正元参院議員(67)に罰金60万円の有罪判決。裏金事件で当時の国会議員への判決は初めて
- 起訴は2018〜2022年の計約5100万円不記載。有罪認定は2022年分の約1120万円のみ、残る4年分は「共謀認められず」無罪
- 福家康史裁判長:「政治活動の公明と公正を確保する法の目的を害した。政治への国民の信頼にも影響を与え責任は大きい」
- 大野被告は公判で、2022年の還流再開について世耕弘成衆院議員から連絡があったと証言
- 立民・田名部匡代幹事長:「政治とカネの問題は何も解決していない」と批判、制度改革を要求
- 安倍晋三元首相が2022年4月に還流を中止したことについて田名部氏は「正しい判断だった」と評価するも「派閥として悪しき慣習を正す認識を共有すべきだった」と指摘
- 「誰が言い出したのか、いつから始まったのか、なぜ再開されたのかの全体像を明らかにすべき」と自民党に説明責任を要求
- 今後は池田佳隆被告の裁判が予定されており、全容解明は続く
- 企業・団体献金と政治の癒着という構造問題への制度改革が急務