2025-06-20 コメント投稿する ▼
三重県がアスリート盗撮を「性暴力」と定義へ 全国初の条例案に注目集まる
アスリート盗撮を性暴力と定義 9月県議会に条例案提出へ
三重県は6月20日、スポーツ現場でのアスリート盗撮行為を「性暴力」と明確に定義し、被害の未然防止を盛り込んだ「性暴力根絶条例案」を9月議会に提出する方針を明らかにした。県によると、アスリート盗撮を性暴力として明文化するのは全国でも極めて珍しいという。
条例に罰則規定はないものの、「性暴力」と定義することで行為の重大性を社会に広く周知し、意識改革を促す狙いがある。特にスポーツ大会などの現場では、若年層の競技者や女子選手が性的な意図で撮影されるケースが後を絶たず、県はこうした“性の搾取”を防ぐ具体的な一歩として条例化を進める。
「これは本当に画期的。やっと“ただの盗撮”じゃないと認識されるようになった」
「性的意図があるのに“ユニフォームだからセーフ”ってずっとおかしかった」
性的姿態撮影罪の“隙間”を埋める条例 背景に現場の切実な声
2023年には、性的部位や下着などを盗撮する行為を処罰する「性的姿態撮影罪」が新設されたが、ユニフォーム姿のアスリートを隠し撮りする行為はその対象外とされてきた。この法の“抜け穴”が、被害者の泣き寝入りを生んでいるという指摘は強く、三重県はそこに踏み込んだ。
今回の条例案は、県の有識者会議が今月4日に取りまとめたもので、被害の実態を訴えるアスリートや教育現場、保護者の声が多く反映されている。スポーツの現場が性の対象とされることの深刻さは、本人たちの競技意欲や自己肯定感にも直接影響する。
「選手たちの努力の場が、性の対象にされているなんて許せない」
「やっと行政が“被害の実在”を正面から認めた感じがする」
デジタル性暴力にも対応 拡散の連鎖を断ち切る試み
条例案では、盗撮だけでなく、SNSなどで性的な画像を流布・拡散する行為も「デジタル性暴力」として位置づけられる。近年、無断撮影された画像や動画がSNSを通じて拡散し、本人が気づいたときには制御不能となる被害が増加。精神的苦痛やプライバシーの侵害が深刻化している。
三重県は、今後条例が成立した場合、教育現場やスポーツ団体、地域社会と連携し、再発防止の啓発や通報体制の整備に取り組む構えだ。罰則を設けない一方で、「性暴力とは何か」を社会全体に問い直す契機とする意義は大きい。
「“軽いノリ”で盗撮してる人、本当に罪の意識ない。条例で一線を引いてほしい」
社会の認識が問われる 「誰もが無関係ではない」時代
性暴力という言葉に対し、「強姦や暴行に限る」という誤解は根強い。しかし、身体を性的対象として消費する行為や、その被写体の意志を無視してデジタル空間にばらまく行為も、確実に“性の暴力”であることは多くの被害者が訴えてきた。
三重県の条例案は、そうした“見えにくい暴力”を見える形にし、社会全体が関与する課題として引き上げる意図を持つ。今回の動きが他自治体にも波及し、国レベルでの法整備や教育政策に繋がるかが注目される。
「他県でもすぐやってほしい。競技する子どもを守れる社会であってほしい」