2025-10-26 コメント投稿する ▼
仁比聡平が調査 鹿児島・国有林皆伐と大雨災害の因果関係が明らかに
現地は、国有林約8.5ヘクタールが保安林・水源涵養林にもかかわらず、2025年1月以降「皆伐」により全て伐採されていたことが分かっており、被害との関連が強く疑われています。 問題の本質は、国の管理する森林であっても、地域住民にとっては生活の水源であり、農業基盤でもあるという点です。
鹿児島・国有林皆伐が招いた大雨災害 仁比聡平議員が調査で明らかに
鹿児島市小田代集落で2025年8月の台風12号による大雨により発生した土砂災害について、日本共産党の仁比聡平参議院議員が現地調査を行いました。現地は、国有林約8.5ヘクタールが保安林・水源涵養林にもかかわらず、2025年1月以降「皆伐」により全て伐採されていたことが分かっており、被害との関連が強く疑われています。
仁比氏は、竪山清隆市議や林野庁、市の職員と共に、伐採された斜面を登り、民有林へ流出した石や土砂、水の力で壊れた用水路、水路の埋没などを確認しました。地元住民の間では「皆伐により保水力が失われ、大雨で一気に水が流れてきた」との声が上がっており、田植えに必要な水量の確保にも深刻な影響が出る恐れがあります。
「木を全部切られたら、山が水を蓄えられなくなるのは当たり前です」
「田んぼに水が入らなくなったら、来年は米が作れません」
「誰も伐採の説明なんか受けてない、いきなり切られた」
「国有林なら国が責任を持ってくれなきゃ困ります」
「自然を壊してまでやるべき伐採だったのか、本当に疑問です」
住民からは、水路修復、拡幅、土砂止めの設置などを求める声も出ており、森林の破壊と災害の因果を巡る議論が本格化する見通しです。仁比議員は、「気候危機と降雨量の激化を考えれば、さらに甚大な被害も起こり得る。水路整備とともに、山の災害対策を急ぐ必要がある」と述べ、国有林の伐採には今後、山間住民の意見を反映させる仕組みの導入が必要だと訴えました。
問題の本質は、国の管理する森林であっても、地域住民にとっては生活の水源であり、農業基盤でもあるという点です。とくに保安林や水源涵養林の皆伐という極端な手法が、気候変動下でどれほどのリスクを伴うかについて、国も自治体も真剣に再考すべきです。
実際、森林の皆伐は表土の流出や地滑りを誘発する恐れがあり、一定期間保水能力を失うことが指摘されています。にもかかわらず、今回のように大規模な伐採を行いながら、そのリスク説明が住民に十分になされていなかったとすれば、行政の説明責任は明らかに欠落していると言えます。
また、伐採の名目は「森林更新」「林業振興」などであっても、現実として農村の水環境や住環境が破壊されているのであれば、政策目的の正当性は失われます。住民が災害の直接被害を受け、その上、説明もなく事業を進められたと感じるのであれば、それは民主主義の手続き上でも重大な問題です。
行政判断の透明性や住民との対話が軽視されたまま、国有林の伐採が進められることは、森林行政そのものへの信頼を揺るがしかねません。住民の安全と生活を守るためには、森林管理計画における住民説明の義務化や、第三者機関による伐採審査制度の導入が検討されるべきです。
国有林は国家の資産であると同時に、地域住民の命と暮らしを守る防災資産でもあります。「国民のための国家」を掲げるのであれば、伐採前に地域住民の声を聞き、事後の責任も国が明確に果たす仕組みが必要です。
今回の小田代集落の被害は、偶然の災害ではありません。自然災害と森林伐採という複合的な要因が交差するなかで、「誰のための伐採だったのか」「誰がその結果の責任を取るのか」という問いが、改めて突き付けられています。