2025-04-30 コメント投稿する ▼
日本とEUが経済安保で初の閣僚級会談 中国依存脱却へ供給網の強化で連携確認
日本とEU、経済安保で初の閣僚級会談 サプライチェーン強化を確認
日本政府と欧州連合(EU)が経済安全保障の分野で連携を深める動きを加速させている。城内実・経済安全保障担当相は4月30日、ベルギー・ブリュッセルでEUのマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員(戦略予測担当)と会談し、重要鉱物などの供給網を強化することで一致した。経済安保を担当する日本とEUの閣僚が直接顔を合わせるのは初めてだ。
中国依存のリスク共有 脱却へ協力
今回の会談の柱となったのは、リチウムやコバルト、ニッケルといった電気自動車や半導体に不可欠な「重要鉱物」をめぐるサプライチェーン(供給網)の問題だ。これらの鉱物は、中国など限られた国に生産・加工が集中しており、安全保障上のリスクが高まっている。
城内氏は会談後、記者団に「特定の国への過度な依存は避けなければならない」と強調。EU側とこの危機感を共有したうえで、代替供給元の開拓や備蓄政策などで協力を進める方針を確認した。
官民で進む連携 政策に具体性も
実は、日EU間での経済安保をめぐる対話は、民間レベルではすでに動き出している。2024年11月には、東京で中曽根平和研究所とドイツのコンラート・アデナウアー財団がセミナーを開き、両地域の専門家が供給網の安定化に向けた提言をまとめた。今回の会談は、そうした議論を政府レベルで制度化する第一歩と位置づけられる。
米の保護主義にも懸念にじむ
会談では、アメリカのトランプ前政権による高関税政策にも話が及んだ。城内氏は具体的な内容には触れなかったが、世界的に保護主義の流れが強まる中、開かれた貿易環境を守りながら、戦略物資の確保をどう進めるか――という問題意識が日EU双方にあることは確かだ。
- 日本とEUが経済安全保障で初の閣僚級会談を実施。
- EV・半導体に不可欠な重要鉱物の供給網強化で連携。
- 「中国への過度な依存を避けるべき」との認識で一致。
- 米の関税政策にも間接的に言及、保護主義への対応を意識。
今後、具体的な協力枠組みや共同プロジェクトがどう展開されていくのかが焦点となる。経済安全保障の課題は、もはや外交や通商とは切り離せない時代に突入している。政治と経済が交差する最前線で、日本とEUがどのような戦略を描くのか注目が集まる。