2025-07-01 コメント投稿する ▼
災害支援に“事前連携”の仕組み NPO・ボランティア登録制度が開始、坂井防災相「積極的な登録を」
災害時の支援強化へ NPO・ボランティアの「事前登録制度」がスタート 坂井防災相が連携強化を呼びかけ
登録制度が始動、平時からの備えが本格化
日本政府は7月1日、災害時の被災者支援を担うNPO法人やボランティア団体などを事前に登録し、自治体や関係機関との連携を強化する新たな制度を正式に開始した。この制度は、先に成立した改正災害対策基本法などに基づくもので、内閣府が運用主体となり、登録は専用サイトを通じて随時受け付けている。
新制度では、登録した団体の「活動地域」「活動内容」「過去の災害支援実績」などの情報が、全国の自治体や関係機関と共有される仕組みとなっており、災害発生時に迅速かつ的確な人員配置や支援活動を可能にすることを目的としている。
坂井学防災担当大臣は同日の記者会見で「災害時において即応体制をとるためには、平時からの情報共有と連携体制が不可欠だ。全国の地方自治体が必要な支援団体とスムーズにつながれるよう、この制度は極めて重要」と強調。「ぜひ多くの団体に積極的な申請をお願いしたい」と呼びかけた。
“駆けつけ型”から“つながる型”へ 支援の質向上に期待
これまでの災害支援では、発災後に情報が錯綜する中、支援団体の到着が遅れたり、受け入れ態勢が整っておらず、活動が制限されたりするケースが後を絶たなかった。
「現地に行っても『誰と話せばいいのか分からない』ってなることが多かった」
「せっかくの支援が届かないのは、仕組みの不備が原因」
こうした課題を背景に、新制度は“駆けつけてから動く”のではなく、“あらかじめつながっている”体制づくりを目指している。
登録された団体は、地方自治体や災害対策本部との事前協議の対象となることで、地域特性に応じた役割分担や資材調達の準備が可能になる。また、避難所運営や被災者の生活支援、炊き出し、心理ケアなど、それぞれの強みを生かした活動に即座に着手できる。
制度設計に携わった関係者も「災害時の混乱を避け、支援の『ムラ』や『ダブり』を減らすには、こうした事前の可視化が欠かせない」と指摘する。
登録のメリットと今後の展望
新たな制度に登録するメリットは、災害時の連携強化だけにとどまらない。情報共有が進めば、行政側の信頼性評価や地域からのニーズ把握にもつながり、平時の防災教育や訓練への参加など、活動の幅が広がる可能性もある。
「これでちゃんと活動履歴が見えるなら助かる」
「自治体と連携できるのは現場的にも大きい」
「登録されることで、うちの団体の信用度も上がる」
制度設計では、登録に必要な条件や審査基準についても、NPO法人だけでなく任意団体や市民グループにも開かれた柔軟な形が採用されており、多様な市民活動の参加を促す構えだ。
一方、登録後も活動実績の報告や連携訓練への参加などが求められる可能性があるため、今後は「登録団体の質的担保」も問われてくる。単なる名簿管理で終わらせず、実効性あるネットワークへ育てられるかが次の課題となる。
“災害大国・日本”だからこそ必要な仕組み
日本は世界有数の自然災害多発国であり、地震・台風・豪雨といった災害は毎年のように発生している。行政による支援だけでは間に合わない局面も多く、民間による柔軟で迅速な対応が被災者支援の要になっているのが実情だ。
阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)を経て、災害支援におけるNPOやボランティアの存在感は年々高まってきた。だが、各団体の情報が散在しており、支援要請や連携調整が難航するという構造的な問題は依然として続いていた。
今回の制度創設は、そうした“バラバラな善意”をつなげ、官民一体の支援ネットワークを構築する試みである。内閣府は今後も自治体への制度周知や研修、情報共有会などを積極的に展開し、登録制度の定着と実効性の確保を図る方針だ。
「支援って、つながってないと意味ないって本当に思う」
「平時の仕込みがなければ、有事には動けない」
災害は「いつか」ではなく「いつでも」起こり得る。だからこそ、平時からの連携が命を守る力になる。登録制度は、その第一歩だ。