2025-07-29 コメント投稿する ▼
「核の脅し」演習報道は事実無根 中谷防衛相と統幕長が強く否定
「核の脅し」要求報道を防衛相が全面否定 日米演習巡る疑惑に火消し急ぐ
台湾有事を想定した日米の机上演習を巡り、「自衛隊が米軍に“核の脅し”を求めた」との報道が一部で浮上したことに対し、中谷元防衛相と吉田圭秀統合幕僚長は7月29日、相次いで記者会見を開き、「事実無根」と明確に否定した。特に中谷防衛相は「そのようなやりとりは行われていない」と強い口調で火消しに努めた。
報道の発端は、昨年2月に実施された日米共同演習「キーン・エッジ2024」に関するもの。中国が核兵器使用を示唆するシナリオ設定に対し、自衛隊の吉田統合幕僚長が「米軍に対し核の脅しで応じるよう求めた」とされる。しかしこれについて中谷氏は、「演習内容の性質上、詳細は答えられない」としつつも、「少なくともそうした発言・要請は一切ない」と断言した。
唯一の被爆国としての矜持 中谷氏「核なき世界への実践的努力を」
記者団の質問に対して中谷防衛相は、核兵器に対する日本の立場についても改めて言及。「我が国は唯一の戦争被爆国であり、その立場から現実的かつ実践的なアプローチで核のない世界の実現を目指していく」と述べ、日本の核政策の根幹が揺らいでいないことを強調した。
これは、「日本が核兵器による抑止に関与した」とする印象を払拭する狙いがある。特に米国との間で安全保障協力を深める中でも、日本は「非核三原則」の維持を掲げており、今回の報道が国内外に与える影響を警戒しているものとみられる。
「核の脅しを求めた事実はない」吉田統幕長も否定
一部報道では、演習のシナリオ中で自衛隊が米インド太平洋軍のアキリーノ司令官に対し、核の使用を示唆するような行動を求めたとされる。しかしこれについて吉田圭秀統幕長は同日の会見で「私がそのような要求をしたことは一度もない」と明言した。
また、同氏は「演習は多様なシナリオを用いて行われ、あくまで机上での想定に基づく訓練だ」と述べ、実際の作戦や政策に影響を与えるものではないとの立場を示した。
国民・市民・有権者の声
「日本が“核の脅し”なんて言い出したら、それこそ国際的信用を失う」
「“事実無根”って言われても、火のないところに煙は立たない気もする」
「非核三原則どころか、もう骨抜きなんじゃないかと不安になる」
「演習内容を明かせないのはわかるけど、説明が曖昧すぎる」
「米軍に頼り切るのは仕方ないとしても、核を持ち出すのは絶対ダメ」
防衛戦略と説明責任のバランスが問われる
防衛省側は一貫して「核の脅しを求めた事実はない」と主張するが、演習内容の詳細が非公開である以上、国民が納得するだけの十分な説明を行うのは難しい。それでも、「唯一の被爆国」として核兵器への関与が疑われるだけで、国内外の信頼と立場が大きく揺らぐのは間違いない。
安全保障上のリアリズムと、国是としての非核原則。この両立が求められる日本において、今後の防衛政策にはこれまで以上に透明性と慎重な言葉選びが必要とされている。