2025-06-30 コメント投稿する ▼
「ブラは男性教師の確認後に許可」? 川崎市がXの誤情報を完全否定──報道とSNSが生んだ虚像
SNSで拡散「胸の成長を男性教師が確認」──虚偽投稿が再燃
「ブラジャーは男性教師が胸の成長を確認した場合のみ許可」。
5月以降、X(旧Twitter)でこのような投稿が拡散され、「川崎市の小学校がこんな指導をしている」とする誤情報が話題となった。あまりに不穏な内容であり、市民の間に不安と怒りが広がったが、川崎市教育委員会は公式に否定。「そのような事実は一切確認されていない」とホームページ上で明言した。
この誤情報は、実は2021年の市議会質疑と報道をもとに、まったく別の文脈が混ざり合って生まれた“二次創作”のようなものである可能性が高い。つまり、過去の一部事実と、他自治体の証言を勝手に組み合わせて「ありそうな話」としてSNS上で拡散されたのだ。
「さすがにこれは信じたくなかった」
「もし本当なら犯罪レベル。でもデマだったのか」
「SNSの“正義感”って、時に凶器になるよね」
「確認もせず拡散した人、責任あると思う」
「教育現場を勝手に傷つけないでほしい」
発端は2021年の“肌着禁止”議論──意図のすれ違いが誤解を生む
誤情報の“種”となったのは、2021年3月の川崎市議会。自民党・山田瑛理市議が、保護者からの「体操服の下に肌着を着させないよう指導された」という声を受け、教育委員会に問い質した。市教委は「運動後に体が冷えてしまう懸念から、低学年に肌着の不着用を勧めた学校がある」と説明したが、高学年やブラジャーに関しての発言はなかった。
むしろ、「高学年の女子がブラジャーを禁止されていた」というのは、市外の保護者の話として山田市議が紹介したもので、川崎市の実態とは関係がない。にもかかわらず、「川崎市が女子児童の肌着を禁止している」といった強い言葉に変換されてネット上を巡回し始めた。
誤情報は、事実をベースにしながらも、別の報道内容が混在したことで“より衝撃的な物語”として拡散される構造を持つ。今回はその典型例と言える。
「スッキリ」の証言が“燃料”に──他自治体の話が川崎市にすり替えられる
さらに誤情報拡大のきっかけとなったのが、日本テレビの情報番組「スッキリ」での報道。2021年3月、この番組で紹介されたのは、別の自治体に通う女子児童の保護者が語った「担任の男性教師が胸の成長を確認した場合のみ、肌着着用が認められる」との証言だった。
このセンセーショナルな証言が、SNSユーザーの記憶の中で「川崎市の事例」として誤って混同され、事実無根の投稿として再び火を噴いた。「情報の切り貼り」によって出来上がったこの誤情報は、川崎市の教育現場にとって、名誉と信頼を傷つける深刻な影響を与えることになった。
教育委員会は公式に「そのような指導方針は存在せず、根拠もない」と明言。今後、法的措置を検討する可能性にも言及している。
「情報番組の影響力、やっぱり大きすぎる」
「“聞いた話”が事実になってしまうSNSの怖さ」
「番組が流した内容が誤解されてるってことも問題」
「放送とSNSの融合が、時に地雷になる」
「記憶と感情が結びつくと、事実は簡単に消えるんだな」
フェイクと向き合う教育が必要な時代
今回の件で問われるのは、単に川崎市の教育行政ではなく、「誤情報にどう向き合うか」という社会全体の態度だ。特に教育現場は、子どもたちの安心と信頼を土台に成り立っている。そこに“事実に基づかない怒り”がぶつけられれば、生徒だけでなく教職員にも深刻な影響を及ぼす。
SNS上では、「正義感」や「児童保護」の名のもとに発信されたとしても、裏取りのない情報がどれほど有害になり得るかを認識する必要がある。学校現場と社会をつなぐ報道や発信には、事実確認と文脈の尊重が何よりも求められる。
「“守るための怒り”が、誰かを傷つけてるかもしれない」
「先生たちのメンタル、大丈夫かな…」
「拡散してしまった人たちは、せめて謝って」
「教育って信頼で成り立ってるんだよ」
「フェイクを防ぐ教育が、今一番必要なのかも」