2025-11-30 コメント投稿する ▼
補正予算21.3兆円の“虚構” 山添拓氏が軍拡とばらまきを批判
山添氏はこれを「一時しのぎのばらまき」であり、根本的な経済立て直しにはつながらないと断じました。 また、「物価高対策=家計支援」という形でガソリン税の補助、電気・ガス料金支援、食料品向けの補助券や地域クーポンなどを含める一方で、幅広く国民の消費に直結する「消費税減税」がまったく盛り込まれていないことも、山添氏は批判点に挙げました。
補正予算の“虚構”――支援の裏にある綻び
先週、NHK「日曜討論」で、山添拓参議院議員(日本共産党所属)は、政府が提案した2025年度補正予算案を「規模は大きいけれども中身はない」と厳しく批判しました。彼が問題視したのは、物価高対策や子育て支援の名の下に盛り込まれた政策の多くが一過性で、国民が求める「消費税減税」や「賃上げ」の実質的な柱を欠いている点です。
政府は最近、総額約21.3兆円の2025年総合経済対策を閣議決定し、その裏付けの補正予算案として一般会計歳出約17.7兆円を計上しました。 中でも、子ども1人あたり2万円を支給する「子育て応援手当」、地方自治体の裁量で支出可能な「重点支援地方交付金」の拡充などが盛り込まれています。
しかし、山添氏はこれを「一時しのぎのばらまき」であり、根本的な経済立て直しにはつながらないと断じました。
賃上げ・減税なし――暮らしを守るには不十分
山添氏の主張は、補正予算が「見かけだけ大きくても、実質的な効果が薄い」という危惧です。政府側は賃上げ環境の整備を掲げていますが、今回の補正予算には最低賃金を時給1500円に引き上げる具体策の明示はなく、賃上げそのものを実現するための直接的支援も見当たらないという指摘があります。これは、実質賃金が物価上昇に追いつかない状況が続く国民にとって、根本的な助けにはなりません。
また、「物価高対策=家計支援」という形でガソリン税の補助、電気・ガス料金支援、食料品向けの補助券や地域クーポンなどを含める一方で、幅広く国民の消費に直結する「消費税減税」がまったく盛り込まれていないことも、山添氏は批判点に挙げました。多くの国民が望んできた消費税減税が無視された点は見過ごせません。
軍拡と大企業支援――国防と経済成長の名の下に
一方、この補正予算の背景には、防衛費の拡大という国家安全保障上の判断があります。政府は、防衛費を国内総生産(GDP)比2%水準に前倒しで引き上げる方針を掲げ、約1.1兆円を新たに計上しました。 この「前倒し」は、これまで議論されてきた目標達成時期を繰り上げるものであり、その意味はきわめて大きいとされます。
さらに「危機管理投資・成長投資」という名のもとで、造船、半導体、AIなど特定分野への重点投資や大企業支援も盛り込まれており、政府は「国際競争力と安全保障の強化を同時に進める」と説明しています。
山添氏はこれを「大軍拡と大企業優遇に金を注ぐ政策」と批判しました。もし国防優先で大幅な軍事費増→将来的なさらなる増税/財政圧迫につながるなら――、その財源は国民の暮らしや福祉、社会保障の切り捨てにつながりかねないというのが彼の警告です。
根本政策の欠如――国民が望む減税・賃上げ抜きでは意味がない
この補正予算案全体を通じて浮かび上がるのは、見かけの「規模の大きさ」によって目を眩ませようとする政権の戦略です。確かに子育て支援やエネルギー費補助、地方交付金拡充など、一見すると国民の生活を支える内容も含まれています。しかし、それらはどれも一時的、または限定的であり、長期的に持続する経済の安定や、国民の実質的な所得改善につながる「減税」「賃上げ」「社会保障の底上げ」といった根本政策が欠けています。
さらに防衛・大企業支援という名の財政出動は、国民生活よりも国家戦略や経済合理性を優先する「別の目的」にお金を注ぎ込む形であり、国民生活の改善を最優先すべき政治の役割から逸脱する可能性があります。
山添氏は、こうした姿勢を「国として何をやるかというまともな政策がないことの裏返し」と断じ、「社会保障削減ありき」から「削減なし、拡充へ」という政治姿勢の転換を強く求めています。
国の財政政策は、単なる景気刺激や防衛力強化の道具ではありません。物価高と所得の圧迫で苦しむ国民には、継続的な減税や賃上げという政策によって実質生活水準を守ることが最も求められているのです。今こそ「ばらまき」ではなく、「根本から国民の暮らしを守る」政治を選ぶべきだ――。山添氏の主張はその本質を鋭く突いています。