2025-05-23 コメント投稿する ▼
物価高で逼迫する自治体財政 総務省審議会が地方財源の拡充を要請
自治体の悲鳴に応えるべき時 物価高で歳出膨張、国に財源支援を要請
物価の上昇が続く中、地域の行政現場では支出が膨らみ、財政運営に苦しむ声が強まっている。こうした状況を踏まえ、総務省の地方財政審議会(小西砂千夫会長)は5月23日、全国の自治体が必要とする地方財源をしっかりと確保するよう村上誠一郎総務相に求める意見書を提出した。政府が6月にまとめる「骨太の方針」への反映を見据え、現場の実情に即した政策対応が迫られている。
人件費も資材も上昇…自治体の財布が悲鳴
審議会が問題視したのは、公務員の人件費確保が困難になっている点だ。民間では春闘などを通じて賃上げが続いているが、自治体では財源の壁が立ちはだかっている。加えて、資材価格の高騰が建設事業費に跳ね返り、道路や公共施設の整備にも影響が出始めている。さらに長期金利の上昇で自治体が抱える借金の利払い負担が増すなど、四方から財政を圧迫する要因がのしかかっている。
このような実態を踏まえ、審議会は地方財政計画の策定に際して現場の実情を反映した経費計上を行うべきだと訴えている。
ガソリン税廃止が呼ぶ“地方切り捨て”の危機
自民・公明・国民民主の三党が合意したガソリン税の暫定税率廃止に対しても、地方からは懸念の声が上がっている。現在の税制ではこの税が地方自治体の貴重な財源となっており、廃止すればその分だけ歳入が減る。特に道路整備や維持管理の予算に直結するため、「拙速な決定は地方を切り捨てることになる」との指摘も出ている。審議会は「自治体の声を丁寧にすくい取ることが不可欠」と政府に慎重な議論を求めた。
給食費無償化は国の責任で
2026年度から予定されている小学校給食費の無償化についても、審議会は「自治体任せでは制度が形骸化しかねない」と国による財源確保の必要性を強調した。現在、地域によって給食費の扱いにばらつきがあり、経済状況による教育格差を拡大させている。意見書では、「全国どこでも等しく学びの環境が整うように、国が主導して制度設計すべきだ」としている。
赤字地方債ゼロで“健全化”の兆しも
一方で明るい材料もある。2001年度に創設された臨時財政対策債、いわゆる赤字地方債について、2025年度は初めて発行額がゼロとなる見通しとなった。これは地方交付税の拡充や自治体の財政運営努力が実を結びつつある証とも言える。ただし、地方債残高自体は依然として膨大で、2025年度末には約171兆円に達すると見込まれており、審議会は今後も着実な債務削減に努めるよう求めた。
ネットの声:自治体に寄り添う政策を
SNS上ではこの動きを受けて、様々な意見が寄せられている。
「人件費も建設費も上がってるのに、自治体はほぼ身動きできない状況じゃん」
「給食費無償化って、本来は国が責任持つべきじゃない?」
「地方財政の健全化って言うけど、その裏で住民サービス削られたら意味ない」
「ガソリン税の議論、地方の道路維持どうすんの?って視点が抜けてる」
「財政の数字だけじゃなくて、現場の声をもっと政策に反映してほしい」
地方は今、目に見えないところで静かに疲弊している。形式上の「健全化」に満足するのではなく、暮らしを支える実のある支援が求められている。