2025-07-03 コメント投稿する ▼
さいたま市が18歳以下に1万円給付を発表 物価高騰対策に43億円、減税論議は置き去りに?
18歳以下に1万円給付 さいたま市が物価高騰対策を発表
対象は約21万人、総額43億円超の給付事業
スマホ決済で15%還元も実施へ
“給付頼み”の支援策に限界、減税の議論はどこへ?
1万円給付で子育て世帯を支援 清水市長が発表
さいたま市は7月2日、物価高騰への緊急対策として、18歳以下の子ども1人につき1万円を給付する独自の支援策を発表した。支給開始は8月下旬を予定しており、対象は約13万世帯・21万5千人にのぼる見込みだ。
清水勇人市長は記者会見で、「物価高の影響を特に受けやすい子育て世帯を迅速かつ的確に支援したい」と述べた。今回の支援事業の総額は約43億1340万円。開会中の市議会に補正予算として提案され、承認されれば実施に移される。
支給はまず、すでに児童手当を受給している世帯から順次開始される予定。市としては、家計の下支えを目的に「夏休み期間に向けた即効性ある支援」と位置づけている。
「ありがたいけど、正直焼け石に水」
「一時金じゃなくて、子育て減税にしてほしい」
「また“子どもがいる人だけ”の支援か…」
「うちは高校生と大学生、教育費のピークなのに足りない」
「選挙前のバラマキとしか思えない」
SNSではこのような声が多数見られ、手放しで歓迎する雰囲気ではない。
スマホ決済に15%ポイント還元も実施
同時に発表されたのが、スマートフォン向けの「さいたま市みんなのアプリ」を使ったキャッシュレス決済で、決済額の15%をポイント還元するという施策だ。還元時期は8〜9月と11月の2回に分けて行われる予定で、地元経済の活性化と市民の消費意欲を後押しする狙いがある。
キャッシュレス還元策は全国の自治体でも導入が広がっているが、使える世代や場面が限定されること、事業者の参加が限られることなどから、「本当に必要な層に届くのか」という点で課題も残る。
市は今後、具体的な対象店舗や還元方法を公表する見込みで、事業者向け説明会も行う予定だ。
“給付依存”から抜け出せない自治体財政
今回の1万円給付に対し、疑問の声も根強い。財源は結局、税金。しかも対象は18歳以下の子どもを持つ世帯に限定されており、未婚の若年層や高齢単身者など、物価高騰の影響を等しく受ける他の層は支援対象外だ。
また、恒常的な物価上昇に対して「一時金」で対応している点も問題だ。構造的な対策――たとえば消費税の軽減や所得税の減税――には踏み込まず、ただ配るだけの支援が繰り返されている現状がある。
根本的な家計負担の軽減策としては、「減税」こそが最も即効性があり、公平性の高い手段であるはずだ。とくに食品や生活必需品にかかる消費税は、低所得世帯にほど重くのしかかっている。こうした部分への手当てなしに、給付金だけでバランスを取ろうとする姿勢には限界がある。
選挙前の“見せ金”に終わらせないために
地方自治体が即効性を重視して給付策を打ち出すことは理解できるが、繰り返されるバラマキ型の政策には財政的な持続可能性の問題がつきまとう。給付金をめぐっては、「選挙前の人気取りでは?」という見方も消えない。
本当に求められているのは、継続的に安心して子育てができる社会環境だ。そのためには、教育や医療への制度的支援、そしてなにより“取らない”=減税を通じた負担軽減のほうが、遥かに実効性がある。
今後の市議会では、この政策が「単なるパフォーマンス」ではなく、どれほど実効性のある支援策として設計されているのかが問われるだろう。