2025-03-18 コメント投稿する ▼
神戸市、全国初のタワーマンション空室税導入を検討
■タワーマンションの現状と問題点
神戸市のベイエリアには、住友不動産の「ベイシティタワーズ神戸EAST」が今春開業を控えている。このマンションは地上27階建てで、上層階には1戸約2億円という高額な部屋もあるが、売れ行きは好調だと市の広報担当者は語っている。この物件は、市が2020年に制定した大規模集合住宅の新設規制を受けており、規制区域内に立地しているものの、条例施行前に着工されたため建設が許可された。このような背景から、このタワーマンションは「最後のタワマン」とも呼ばれている。
神戸市内には現在、60メートル以上または20階以上の分譲マンションが64棟存在しており、その多くは近年の都心回帰の流れに乗って建てられたものだ。特に、郊外から都心への移動が進んでおり、タワーマンションの需要が高まっているが、同時にこれ以上の建設が進むと、都心部の景観や環境に対する影響も懸念されている。
■空室税導入の背景と目的
神戸市が「空室税」の導入を検討している背景には、投資目的で購入されたタワーマンションの空室が増えていることがある。空室が増えると、物件の管理や修繕が難しくなり、地域の住環境にも悪影響を与える恐れがあるためだ。市は、こうした状況を改善するために、「空室税」を導入し、空室を減らすことを目指している。
この政策に対する参考として、東京の晴海フラッグ地区の事例が挙げられている。ここでは、投資家が多数の物件を購入したものの、空室が増え、地域の活性化が進まないという問題が浮き彫りになった。神戸市もこのような事態を避けるため、空室税を導入して、空室が生じた場合の負担を所有者に求めることを考えている。
■空室税導入に向けた課題と展望
空室税を導入するには、法的な手続きが必要となる。まず、税制を改正しなければならず、そのためには市議会の議決や総務大臣の同意を得る必要がある。これには時間がかかるため、空室税が実現するまでには一定の期間が必要とされるだろう。
また、税理士や不動産鑑定士の中には、空室税が投機的な取引を抑制し、市場価格の安定化を促進するのではないかという意見もある。しかし、住民票の有無を基準にした判断方法に対しては、実際の居住状況や物件の利用目的をきめ細かく確認する必要があるという慎重な意見もある。実際に、空室の定義や判定基準をどうするかが、議論の焦点となっている。