ネット選挙の真実と虚像:「石丸旋風」「立花現象」から見えた民意と混乱の境界線

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ネット選挙の真実と虚像:「石丸旋風」「立花現象」から見えた民意と混乱の境界線

デジタル民主主義の幕開けと危うさ


「ネットが選挙を変える」——そんな言葉が現実のものとなってきたのは2024年からだ。東京都知事選に出馬し15万票を集めたAIエンジニア、安野貴博氏のように、テレビには映らずともネット上で強い存在感を放つ候補が注目されるようになった。今回、自ら新党「チームみらい」を結成し、7月の参院選に向け10人以上の候補を擁立した安野氏は、「テレビに何秒映ったかは、もはや意味をなさなくなった」と語る。

これは、石丸伸二氏が注目を浴びた都知事選や、立花孝志氏が話題を集めた過去の選挙とも共通する現象である。SNSによって候補者と有権者が直接つながるようになった今、「情報を持つ者が選挙を制する」構造は加速している。だが、その情報が真実とは限らないことが、現代ネット選挙の最大の問題点でもある。

ネット選挙があぶり出すマスコミ不信と情報の偏り


安野氏が警鐘を鳴らすのは、「誤情報」と「マスコミ不信」の拡大である。オールドメディアが候補者を公平に扱う制限がある一方、ネットでは感情的で断定的な言説が急速に拡散される。選挙戦の取材に来ることすらない地元紙や、候補者紹介を控えるテレビ報道への失望感が、ネットへの依存を加速させている。

特に中高年層がYouTubeなどに影響を受けている現状は、「ネット=若者の空間」という旧来の認識を覆している。ネットがリアルな政治空間に侵食するなか、フェイクニュースや誹謗中傷は無視できない社会課題となった。

「テレビで見ないからって無視できる時代じゃない」
「フェイクも本物も見分けつかない」
「候補者の名前で検索して出るのは個人の感想ばっか」
「情報過多で、結局どれが本当かわからん」
「新聞読んでも何も分からんから動画に流れるの当然」


規制と自由のはざまで揺れるネット空間


立花孝志氏のように、過激な主張やフェイクを活用することで注目を集める手法は「バズれば勝ち」の風潮を助長している。安野氏は「第2の立花孝志を生まない」ためには、司法のスピードと予防策が必要だと述べる。

その一つが「プリバンキング」と呼ばれる予防情報戦略だ。事前に「このような偽情報が出回ります」とアナウンスすることで、有権者が冷静な判断をする助けになる。さらに、学校での情報リテラシー教育も重要であり、制度的な支えなしにはネット選挙の健全化は望めない。

一方、SNS規制については慎重な立場をとる。YouTubeなど海外のプラットフォームに法規制が通用しにくいこと、また旧メディアも利益を得ている点を踏まえ、「ネットだけ規制するのは不公平」と語る。

選挙制度のアップデートと「デジタル民主主義」


安野氏が打ち出す「デジタル民主主義」は、AIと人間の対話を通じてボトムアップ型で政策を作る仕組みだ。実際、チームみらいのサイトでは2週間で1800件の政策提案が寄せられ、「教員の負担軽減」や「AI教育」など、既存政党が拾いきれない声が浮かび上がっている。

さらに注目すべきは台湾の「Join」のような仕組みだ。5000人以上の賛同を集めた提案は政府が正式に検討するという制度で、実際に170件が政策化された。安野氏は「選挙と並行して民意を届ける仕組み」を日本でも地方から導入すべきと提案する。

「国に言ってもムダ、と思ってたけど、こういう仕組みならワンチャンある」
「誰も拾ってくれない声を、AIが拾ってくれるとは…」
「マニフェストがアップデートされるって面白い」
「投票以外の手段があるのは、正直ありがたい」
「地方レベルからでも始めてくれたら参加してみたい」


「よそ者・若者・馬鹿者」が政治を動かす時代へ


新党「チームみらい」の候補者たちは30代が中心。AIエンジニアやデザイナーなど、従来の政界とは一線を画す顔ぶれが並ぶ。その狙いは明快だ。「30年後も現役の世代でなければ未来を語れない」という立場から、制度の持続可能性を現実として受け止める当事者たちによる政治参画である。

安野氏自身も、政治の差別化ではなく「筋の通った政策をやるかどうか」という姿勢を貫く。テクノロジーに振り回されるのではなく、社会の課題に向き合い、それにAIをどう使うかを考える——その姿勢こそが、「イーロン・マスク的」とされる彼との本質的な違いである。

選挙制度の限界と日本政治の未来


本来、選挙は民意を吸い上げるための制度だった。しかし、現実には経験値の高い選挙プランナーや曖昧な公選法の運用、検挙率の地域差といった問題が、民意の反映を歪めている。ネットがその代替になりうるとはいえ、現行制度のルールの複雑さも改善が急務だ。

選挙活動において「これは違法、これは合法」と曖昧な基準がまかり通る状態は、有権者をも惑わせる。ネット選挙の可能性を活かすためにも、制度のシンプル化、司法の迅速対応、そして情報リテラシーの向上という三本柱が必要だ。

安野氏が問うのは「AIが社会を変える」のではなく、「社会がAIをどう使いこなすか」である。ネットによって加速する政治の新しい形が、本当に民意を映す鏡となるには、まだ課題は多い。

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2025-06-30 09:37:27(植村)

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