2025-06-26 コメント投稿する ▼
チームみらい・安野貴博氏が描く「AIとつくる開かれた政治」 高齢者も取り残さない未来構想とは
「誰も取り残さない日本」をAIで実現できるか チームみらい・安野貴博氏が語る“開かれた政治”の挑戦
政治団体「チームみらい」を率いる安野貴博氏(34)は、AIエンジニア、起業家、SF作家と多彩な顔を持つ異色の候補者だ。2023年の東京都知事選では15万超の票を得たが、次に狙うのは国政。今夏の参院選比例代表に向け、「テクノロジーで誰も取り残さない日本へ」という理念を掲げ、挑戦を開始した。
安野氏は「30年近く経済成長が止まり、人口減少と少子高齢化が進む中、変革に必要なのはテクノロジーの力です。私はその専門家として、日本の政治に足りない領域を補える」と語る。
既存の政党や官僚機構では変化が遅すぎるという危機感から、自ら政治団体を設立し、10人規模での比例候補擁立を目指す。目標は2議席獲得だ。
AIと熟議する政治 チャットで政策をつくる新プロセス
チームみらいの最大の特徴は、政策立案の透明性だ。党の初期マニフェスト「ver.0.1」は、AIを介した“熟議”を経て練り直されるという。
具体的には、有権者がマニフェスト案にチャットで意見を伝えると、AIが丁寧に対話を重ね、「改善提案書」にまとめてくれる。すでに2570件超の提案が蓄積され、どの意見が採用されたか、されなかったかの履歴も公開されている。
「政党が公約をどう作ったか全部見えるのは新鮮」
「熟議にAI使うって、ちょっと未来感あるね」
「黙ってたら勝手に決まる政治じゃなくなりそう」
「政策を国民と一緒につくる仕組み、もっと早く欲しかった」
「その透明性を永田町で維持できるのか見もの」
教育政策の例では「AIチューター導入」に対して、「子どもの思考力が奪われるのでは?」という懸念が寄せられると、AIが逐一問い返しながら、丁寧に対話を進める。こうした双方向の議論を通じて、政策が研ぎ澄まされていく。
高齢者やIT弱者をどう取り残さないか
「テクノロジーで誰も取り残さない日本」と掲げる一方で、「高齢者やITに弱い人はAIとチャットなんてできないのでは?」という疑問も当然上がる。
これに対して安野氏は、「AIは話すように使える技術。むしろパソコンよりも高齢者にやさしい」と説明する。実際、都知事選では音声通話でAIに意見を届けられる仕組みを導入。電話でAIに話しかけることで、意見や質問ができたという。
また、オンラインに限定せず、オフラインのコミュニケーションにも注力するとし、「現役世代が忙しくて陳情できない問題もAIが補完できる」と語る。AIは24時間稼働し、意見を“代弁”するツールとして機能するというのが安野氏の考えだ。
「AIは選挙結果を予測できるか?」に笑顔で否定
インタビューでは「AIに参院選の結果を予測させましたか?」というユーモラスな問いも飛んだ。これに対し安野氏は、「ああいうのは信頼性が低い(笑)。専門家として言えるのは、AIは便利だけど、選挙結果は読めません」と軽く流した。
このスタンスに象徴されるように、安野氏はテクノロジーへの過剰な幻想を抱いていない。「あくまで人間が使う道具」としてAIを位置づけ、政治の中での合理的な活用にこだわっている点が他の“IT活用政治”とは一線を画す。
開かれた政治へ 本当に風穴を開けられるか
これまで政党のマニフェストや政策形成プロセスは、業界団体の意向や政治的駆け引きが見え隠れする“ブラックボックス”だった。安野氏はそこに風穴を開け、「誰が何を提案し、どう扱われたのかをすべて記録・公開する」新しい政治の形を打ち出す。
参院選での本格的な挑戦はまだ始まったばかりだが、チームみらいの試みが示しているのは、AIをツールとして活用しながら、政治を“参加可能”にする未来像だ。有権者がただ投票するだけでなく、政策そのものに関与する——そんな時代が本当に訪れるのか。その先頭を走るこの動きから、今後も目が離せない。