2026-06-24 コメント投稿する ▼
奈良県が事業承継支援プログラム始動 廃業防止へ後継者マッチングも
奈良県は2026年6月22日、経営者の高齢化や後継者不在による中小企業の廃業を防ぐ「事業承継支援プログラム」を発表し、セミナーやイベントへの参加申し込みの受け付けを開始しました。プログラムは「引き継ぎの準備」「円滑な引き継ぎ」「引き継ぎ後の成長」の3段階で構成され、M&Aへの補助金や優遇融資も整備されています。中小企業の後継者不在率は全国で5割超に達しており、廃業が地域経済とサプライチェーンに与える深刻な影響を防ぐための取り組みとして注目されます。
後継者不在が招く廃業危機 全国で深刻化する中小企業問題
経営者の高齢化と後継者不在による中小企業の廃業問題は、いまや日本全体の深刻な課題です。
帝国データバンクの2025年の調査によると、中小企業の後継者不在率は51.2%に達しており、小規模企業では57.3%と、半数以上の企業が後継者を決めていない状態です。経営者年齢のピーク層は高齢化が進み、60歳以上の経営者が全体の過半数を占めています。
後継者不在のまま廃業が続くと、優れた技術や人材、顧客基盤といった経営資源が失われます。中小企業庁の試算では廃業が進んだ場合に、累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があると指摘されており、地域経済やサプライチェーン全体への影響も深刻です。
後継者がいないと分かっていても、どこに相談すればいいのか分からないまま月日が過ぎてしまっている経営者は多いと思います
奈良県が事業承継支援プログラムを始動 22日から申し込み受け付け開始
奈良県は2026年6月22日、中小企業の廃業を防ぐための「事業承継支援プログラム」を発表し、セミナーやイベントへの参加申し込みの受け付けを開始しました。
プログラムは「引き継ぎの準備」「円滑な引き継ぎ」「引き継ぎ後の成長」の3段階で構成されており、企業のニーズやステージに応じた支援を包括的に提供します。廃業によって事業・技術・人材などの経営資源が失われると、自社だけでなくサプライチェーンや地域経済にも深刻な影響が及ぶという問題意識のもと、円滑な事業承継やM&A(企業の合併・買収)を促すことを目的としています。
山下真奈良県知事は同日の定例会見で「事業承継は後ろめたいことではなく、廃業よりずっと前向きな決断だ。そうした意識を持って積極的に今から準備してほしい」と述べました。
廃業よりも承継という選択肢があることを、もっと多くの経営者に知ってほしい。奈良県の取り組みが全国に広がってほしいです
セミナー・マッチング・後継者育成 具体的な支援の中身
「引き継ぎの準備」として、2026年7月13日に奈良商工会議所(奈良市西大寺南町)を会場に、対面とオンラインのハイブリッド形式で啓発セミナーを開催します。高木包装(葛城市)の高木美香社長を迎え、承継の必要性や準備のポイント、実体験を伝えます。
「円滑な引き継ぎ」では2026年11月13日に同商議所でマッチングイベントを実施します。後継者を求める経営者本人が実名で登壇し、自社の強みや承継への思いを直接伝えるという異例の試みで、2026年7月末まで4社程度の募集を行います。
経営者が実名で登壇するのはなかなか勇気のいることだと思いますが、それだけ真剣に後継者を探しているということが伝わりますよね
「引き継ぎ後の成長」を促すため、2026年8月31日に後継者を対象とした育成セミナーのプレイベントを開催します。世界展開を目指す日本酒「みむろ杉」の蔵元である今西酒造(桜井市)の今西将之代表取締役が登壇し、家業を継ぐ決断や経営革新の舞台裏を語ります。2026年10月からは実践的な「アトツギゼミ」(10人限定、全5回)を開講する予定です。
廃業を選ぶより承継を選んだほうが地域のためになる。そういう意識が広まってほしいと思っています
資金面のバックアップも充実 今すぐ動き出すことが重要
資金面のサポートも用意されています。専門家を活用したM&A関連経費に最大50万円を補助するほか、一連の県の事業に参加した譲り受け企業を対象に優遇融資制度を設け、資金繰りを支えます。
費用面の不安から事業承継やM&Aを諦める経営者も多い。50万円の補助は小さいようで、背中を押すには十分な金額だと思います
事業承継には一般に数年から最長10年程度の準備期間が必要とされており、早期に行動することが欠かせません。帝国データバンクの調査によると、60代の経営者の後継者不在率は約49%に達しており、経営者が健在なうちに準備を始めることが急務です。
セミナーなどの問い合わせは、県商工会連合会(電話:0742-53-4412)で受け付けています。詳細は奈良県の公式ホームページに掲載されています。
まとめ
- 奈良県が2026年6月22日、中小企業の廃業防止を目的とした「事業承継支援プログラム」を発表し、申し込み受け付けを開始
- 帝国データバンク2025年調査で中小企業の後継者不在率は51.2%、小規模企業では57.3%と深刻な水準
- 中小企業庁の試算では廃業が進んだ場合、約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性がある
- プログラムは「引き継ぎの準備」「円滑な引き継ぎ」「引き継ぎ後の成長」の3段階
- 2026年7月13日に啓発セミナー(高木美香社長登壇)、11月13日にマッチングイベント(実名登壇・4社募集)を予定
- 2026年8月31日に後継者育成プレイベント(今西将之代表取締役登壇)、10月から「アトツギゼミ」(10人限定・全5回)を開始
- M&A関連経費に最大50万円の補助金と優遇融資制度を設置
- 山下真知事:「事業承継は後ろめたいことではなく、廃業より前向きな決断だ」