2025-08-04 コメント投稿する ▼
群馬県が外国人向け生活ルール通知「群馬モデル」開始 不法就労対策に全国初のLINE活用
群馬県が外国人向け「ルール通知」実証事業を開始 LINE活用で全国初の試み
群馬県が全国に先駆けて、外国人労働者向けの生活ルールや法令周知を目的とした新たな取り組みをスタートさせた。通信アプリ「LINE」を活用し、多言語で在留手続きや納税、交通・ごみ出しなどの情報を発信する実証事業で、全国初の試みとなる。
背景には、不法就労や生活ルールをめぐるトラブルの増加、そして「多文化共生」という理想と、現実とのギャップがある。群馬県の山本一太知事は「ただ共生を唱えるだけでは前に進まない」と率直に語る。
増加する外国人労働者と生活ルールの乖離
現在、日本国内の外国人労働者は過去最多の約230万人に達し、地域社会における存在感は年々大きくなっている。一方で、不法就労や不法滞在といった法的問題や、地域住民との摩擦も顕在化している。
特に、生活に必要なルールや慣習を十分に知らないまま過ごす外国人も多く、ゴミの出し方や交通ルール、公共サービスの使い方をめぐるトラブルが自治体に頻繁に寄せられている。
群馬県はこれらの課題に対し、「違反を咎める前に、正しい情報を確実に届ける」という視点で対応を開始した。
LINE×雇用情報=群馬モデル
今回の実証事業は、厚生労働省が管理する外国人労働者の雇用情報と、LINEの多言語自動翻訳機能を組み合わせたもの。前橋市、伊勢崎市、太田市、館林市の4市を対象に、外国人労働者を雇用する約3000社にLINE登録を呼びかけ、従業員向けに情報を発信する。
伝達される情報は以下の通り。
* 在留資格・手続きに関する注意点
* 税金の申告や納付のルール
* ゴミの分別・収集日時など地域の生活習慣
* 交通規則(例:自転車の2人乗り禁止 等)
* 警察や労働局、自治体からの重要通知
LINEは24カ国語に対応し、ベトナム語やインドネシア語、英語などが含まれている。生活上の「当たり前」が文化によって異なる中、これを「言葉の壁」で片付けず、制度的に解消しようとする取り組みだ。
不法就労者全国3位 “共生”の裏にある現実
群馬県の不法就労者数は令和6年時点で1799人。全国で茨城県、千葉県に次いで3番目に多い。不法滞在や犯罪に対する地域住民の不安が根強い中、全国的にも「規制強化」と「共生」のバランスが問われるようになっている。
「住民がルール守ってるのに、外国人は知らなかったで済むの?」
「共生って、地域の秩序とルールを守った上で成り立つ話だよね」
「これだけ人が増えたんだから、行政がちゃんと情報届けるのは当然」
「厳罰よりも事前の理解。この群馬の取り組みは評価できる」
「言葉が通じなくても、ルールは共通。それを伝えるのは行政の責任」
市民・有権者からは「ルールを知ったうえで守る」ことを前提とした共生を支持する声が多く、単なる「寛容さ」だけでは成り立たないという認識が広がりつつある。
「多文化共生」に“ルール”という現実的な手段を
山本知事は「多文化共生という言葉を掲げるだけではなく、現場で何をどうするかが問われている」と述べ、「群馬モデル」を全国に展開していく考えを示している。
外国人の急増と同時に、行政や地域住民が直面する課題は複雑化している。外国人が日本の文化やルールを理解し、遵守できる環境を整えることは、結果的に日本社会全体の秩序と信頼につながる。
なお、今回活用された雇用情報はこれまで自治体とは共有されてこなかったが、群馬県は国家戦略特区を通じた特例活用も視野に調整を進め、国が昨年提示した情報提供方針により実現した。
現在は44社318人がLINEに登録。10月末まで実証が続き、2026年度からの本格導入が予定されている。