2026-06-19 コメント投稿する ▼
石丸伸二氏、YouTube動画9億回再生の功罪:都知事選で見えたSNS時代の政治と「消費される人気」
「注意」「批判」「ダメ」といった否定的な言葉が頻繁に使われ、内容も「既得権益との対決」といった分かりやすく扇動的なテーマを強調するものが多かったと指摘されています。 一方で、笹原教授は、「高評価は少なかった」と指摘し、これらの動画が石丸氏への熱心な支持というよりも、「娯楽として消費されたのではないか」との見方を示しています。
SNS時代の政治と情報発信
現代において、インターネット、とりわけ動画共有プラットフォームであるYouTubeは、政治家や政治に関する情報を得るための重要なチャネルとなっています。候補者自身が発信する公式情報はもちろんのこと、第三者が制作・編集するコンテンツもまた、有権者の政治への関心や理解に大きな影響を与えています。特に選挙期間中は、候補者の言動や政策に対する様々な意見が動画として拡散され、世論形成の一翼を担うことも少なくありません。
異例の再生回数、その内訳は?
東京科学大学の笹原和俊教授と博士課程の三輪喜人さんによる調査によると、2024年の東京都知事選挙の投票日までのおよそ4年間で、石丸伸二氏を取り上げたYouTube動画は6688本投稿され、その総再生回数は実に9億8879万回に達しました。これは、現職の小池百合子知事に関する動画の倍以上に相当する数字です。この驚異的な再生回数は、選挙の約1年前から急増したことが分かっています。
しかし、その内訳を見ると興味深い実態が浮かび上がってきます。石丸氏自身の公式チャンネルからの動画は全体の78本にとどまり、大多数は、ファンやメディア関係者など第三者によって編集された「切り抜き」動画でした。これは、石丸氏の発言の一部を切り取って編集・公開する形式の動画であり、オリジナルの文脈から切り離されて拡散される特性を持っています。
扇情的なタイトルと「切り抜き」文化の功罪
さらに注目すべきは、再生回数が多かった動画のタイトルに見られる傾向です。「注意」「批判」「ダメ」といった否定的な言葉が頻繁に使われ、内容も「既得権益との対決」といった分かりやすく扇動的なテーマを強調するものが多かったと指摘されています。笹原教授らは、こうした手法が視聴者の注意を引きつけ、クリック数を増やし、結果として広告収入の増加を図る目的があったのではないかと分析しています。
こうした「切り抜き」動画が、政策論争や具体的な公約といった本質的な議論を覆い隠してしまうほどの規模で流通したことは、現代の情報空間における課題を示唆しています。過度に扇情的なコンテンツが、有権者の判断を誤らせる可能性も否定できません。もちろん、こうした動画が石丸氏の知名度向上に一定の貢献をしたことは事実でしょう。
「熱狂」か「消費」か
一方で、笹原教授は、「高評価は少なかった」と指摘し、これらの動画が石丸氏への熱心な支持というよりも、「娯楽として消費されたのではないか」との見方を示しています。9億回という数字は圧倒的ですが、それが必ずしも具体的な支持や共感に結びついているとは限らない、という分析です。
SNS上で話題になることと、実際の政治的影響力や支持基盤の強固さの間には、しばしば乖離が見られます。石丸氏のケースは、インターネット上で一時的に大きな注目を集めたとしても、それが有権者の深い理解や長期的な支持につながるかは別の問題であることを示唆しています。有権者側も、SNSで目にする情報がどのような意図で制作・拡散されているのかを見極めるリテラシーが、これまで以上に求められていると言えるでしょう。
まとめ
- 石丸伸二氏に関するYouTube動画は、東京都知事選までの4年間で6688本、総再生回数約9.8億回に達した。
- 動画の大半は第三者による「切り抜き」であり、公式動画は一部にとどまった。
- 再生数の多い動画は、「注意」「批判」「ダメ」といった否定的な言葉や、「既得権益との対決」といった扇動的なテーマを強調する傾向があった。
- これは視聴者の注意を引き、収益化を図る狙いがあった可能性が指摘されている。
- 一方で、笹原教授は、再生回数の多さの割に「高評価は少なく」、「娯楽として消費された」可能性を指摘している。
- SNSでの注目度が、必ずしも実質的な支持に結びつくとは限らない実態が示された。