2026-03-10 コメント投稿する ▼
G7財務相が石油備蓄放出で一致、片山さつき財務大臣が原油高騰への協調対応表明
主要7カ国は2026年3月9日夜、緊急のオンライン財務相会合を開き、原油価格の急騰に対処するため石油備蓄の放出など必要な措置をとることで一致しました。ホルムズ海峡の事実上の封鎖により原油先物価格が一時1バレル119ドルまで急騰する中、国際エネルギー機関も協調放出を早急に行うよう求めています。
IEAが協調放出を要請
会合後、片山さつき財務大臣は財務省内で記者団の取材に応じ、「G7が今後もエネルギー市場の動向を注視して、石油備蓄の放出など世界のエネルギー供給を支える措置、その他必要な対応を講じることで一致したということは非常に大きな成果と考えております」と述べました。
「備蓄放出でガソリン代が下がるなら、早くやってほしい」
会合には国際エネルギー機関のファティ・ビロル事務局長も出席しました。ビロル事務局長は「原油のストックがあるところにはあると見せる必要がある」として、石油備蓄の協調放出を早急に行うよう求めたということです。G7各国の財務相はこれに応じ、協調放出を含む必要な対応を講じることで合意しました。
今回の緊急会合は、中東情勢の急速な悪化を受けて議長国フランスが呼びかけ、日本時間9日午後9時半から開催されました。国際通貨基金、世界銀行、経済協力開発機構も参加し、足元の中東情勢や世界経済の状況、貿易及び金融市場に与える影響について議論しました。
原油価格が3年9カ月ぶりの高値
原油取引の指標となる先物価格は、9日に一時およそ3年9カ月ぶりとなる1バレル119ドルまで急上昇しました。前週末からの上昇率は約30パーセントに達し、市場では100ドルを超える水準が続く可能性も指摘されています。
「ガソリンだけじゃなく、物流コストも上がって生活が苦しくなる」
米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡を封鎖したと発表しました。通過する船舶への攻撃を警告しており、実際に複数のタンカーが攻撃される事態となっています。保険会社がホルムズ海峡を通過する船舶への保険適用を停止したため、海運会社は航行を停止せざるを得ない状況に陥っています。
ホルムズ海峡は世界の原油や液化天然ガスの約2割が通過するエネルギー輸送の生命線です。この重要な航路が事実上閉ざされたことで、原油価格の高騰だけでなく、世界経済全体への深刻な影響が懸念されています。
4年ぶりの協調放出となるか
G7による石油備蓄の協調放出が実施されれば、ロシアのウクライナ侵攻で原油供給が滞った2022年以来、約4年ぶりとなります。当時、日本も国家備蓄と民間備蓄を組み合わせて計2250万バレルを放出しました。
「また戦争のせいで国民が負担を強いられるのか」
ただし、G7議長国フランスのブリュノ・ルメール経済・財務大臣は会合後、協調放出の合意には「まだ至っていない」と説明しました。現時点では備蓄放出を実施する段階には至っていないものの、必要に応じて世界のエネルギー供給を支えるあらゆる措置を講じる用意があると表明しました。
一部報道によると、米国当局者の中には備蓄量12億バレルの25から30パーセントに相当する3億から4億バレルの放出が適切だと考えている者もいるとされています。G7は今後もエネルギー市場の状況と動向を注意深く監視し、必要に応じて会合を開くとしています。
日本は単独放出も視野
日本政府も9日、国内10カ所の国家石油備蓄基地に放出準備を指示したことが明らかになりました。経済産業省は石油元売りへの聞き取り調査なども進め、国内需給を見極めています。
日本には2025年12月末時点で、国家備蓄が146日分、民間備蓄が101日分、産油国共同備蓄が7日分の合計254日分の原油や石油製品を蓄えています。IEAが加盟国に求める90日分を大きく上回る水準ですが、ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば民間備蓄の目減りは避けられません。
「備蓄があるうちに解決してほしい。長引いたら本当に困る」
片山財務大臣は会合で、各財務相が所管閣僚に働きかけることを提案しました。近くエネルギー担当相の会議も行われる見通しです。今回はG7の協調対応を念頭に置いていますが、国内の需給が逼迫した場合は日本単独での放出に踏み切る可能性もあります。実現すれば、1978年の国家備蓄制度創設以来初の単独放出となります。
原油価格の急騰は東京市場にも大きな影響を与えました。9日の東京市場は株、債券、通貨が売られるトリプル安となり、外国為替市場で対ドルの円相場は一時1ドル158円台後半まで下落しました。原油価格の高騰が日本経済に与える影響は大きく、政府の迅速な対応が求められています。