2025-06-16 コメント: 2件 ▼
小池都知事「東京には受け入れ余力ある」 オーバーツーリズムの指摘も治安悪化対策は補助金対応のみ?
過去最多の訪都外国人、小池知事「経済効果は大」
東京都の小池百合子知事は6月13日の記者会見で、2024年の訪都外国人旅行者数が過去最高の2,479万人に達したことを明らかにした。2023年比で約500万人増加し、観光消費額も過去最高の約4兆円に到達したという。都知事は「東京の経済の活性化に大変貢献している。まさに経済効果大」と、その恩恵を強調した。
だが、観光客の増加に比例して、都内の各地では混雑、ゴミ問題、治安の不安などを訴える声も少なくない。特に近年では「オーバーツーリズム(観光公害)」という言葉が一般にも浸透し、住民生活との摩擦が全国各地で問題視されている。
こうした状況を踏まえ、会見では記者から「各地でオーバーツーリズムが問題となっているが、都の対応はどうか」との質問が飛んだ。
小池知事はこれに対し、「東京には旅行者を受け入れる十分なキャパシティがある」と述べ、都として訪問客数の抑制や制限を検討していないことを示唆した。その一方で、「海外から来られた方々にもマナーのご協力をいただきたい。日本におけるマナーやルールを伝えることが、むしろ日本の魅力の発信にもなる」とし、外国人観光客への啓発を強化する方針を語った。
「マナー啓発だけで対応するつもりか?」
「現場では商店街が疲弊してるのに、“キャパある”って他人事みたい」
「観光収入だけ見て治安や生活環境を無視してない?」
「外国人にはマナーをと言いつつ、日本人には防犯カメラ補助だけ?」
「経済効果ばかり強調されても、都民の暮らしはどんどん窮屈になってる」
SNSでも、都知事の「キャパシティがある」という認識に対し、多くの都民やネットユーザーが懐疑的な反応を示している。
都民の治安不安には「補助金で対応」
都知事の発言とは裏腹に、都政は市民の治安不安に対しては実際に対策を取り始めている。東京都は「令和7年度東京都防犯機器等購入緊急補助事業」を創設し、区市町村が個人宅向けに実施する防犯カメラやセンサーライトなどの購入助成事業に対し、都としても補助金を出す方針だ。
補助内容は、「1世帯あたり2万円を上限に、費用の2分の1を都が負担」「1世帯あたり1回限り」となっており、都民の体感治安の悪化に対応する緊急的措置と位置づけられている。これは、訪都外国人の急増とそれに伴う地域の緊張感を暗に反映した対応とも受け取れる。
しかし、「キャパシティはある」「観光客増加は経済効果がある」と前向きな発言をしながら、その裏で防犯機器の導入を支援するという姿勢は、どこかちぐはぐだ。治安悪化を認めたくはないが、実態としては不安が高まっている──その矛盾を隠しきれていないようにも映る。
オーバーツーリズムの現実に目を背けたままの観光推進
確かに東京はインフラも整い、観光対応力も高い都市である。しかし、だからといって無制限に受け入れ続ければよいというものではない。現に京都や鎌倉、富士山周辺などでは、観光客の集中による生活圧迫や自然環境への影響が深刻化しており、アクセス制限や有料化などの対応を強いられている。
東京も例外ではなく、住民が多く住む住宅地にまで外国人観光客が押し寄せたり、深夜の騒音やゴミのポイ捨てが常態化するエリアも出てきている。コンビニや公園、駅構内でのマナー違反が目立つとの報告も増えており、それが「体感治安の低下」となって都民の意識に表れている。
それでも都知事は、観光客による経済効果だけを強調し、明確な規制や調整策には踏み込まない。マナー啓発という“自主性頼み”の対応にとどまる現状は、自治体の本来の役割を果たしているとは言い難い。
「経済優先」だけでよいのか? 問われる都政の責任
小池都政は、外国人観光客の増加を「東京ブランドの強化」と捉え、積極的な観光誘致政策を続けている。コロナ禍以降の経済回復を後押しする狙いがあるのは理解できるが、都民の暮らしや安心を軽視してまで追求すべきものだろうか。
観光立国を標榜するならば、同時に“観光を受け入れる住民”の負担や不安を誠実に受け止める必要がある。経済効果という数字だけを盾に「キャパがある」と断じる姿勢では、都民の信頼を得ることはできない。
都知事が語るべきは、「東京は外国人観光客を歓迎します」だけではない。「そのために都民の暮らしをどう守るのか」を示す責任があるはずだ。オーバーツーリズムは“他所の話”ではなく、すでに東京の身近な現実になりつつある。