2025-10-28 コメント投稿する ▼
小池百合子・東京都知事が若者シェルターに最大2565万円補助 家庭に居場所ない20代まで支援
東京都の小池百合子知事氏が、家庭に居場所がない10代から20代の若者を支援するため、民間団体に最大2565万円の補助金を投入する事業を開始しました。 この事業では宿泊を含む居場所の提供、生活支援、相談支援、心理療法支援、日中の居場所提供、就労・就学支援、弁護士連携支援、送迎支援など幅広いメニューが用意されています。
東京都によると、家庭に居場所がない若者の中には、一時保護や施設入所を望まない人や、年齢により既存の制度の対象外となってしまう人がいます。こうした若者たちは様々なニーズを抱えているにもかかわらず、十分な支援を受けられない状況にあります。
この事業では宿泊を含む居場所の提供、生活支援、相談支援、心理療法支援、日中の居場所提供、就労・就学支援、弁護士連携支援、送迎支援など幅広いメニューが用意されています。すべての支援を実施する場合、団体は最大2565万8000円の補助を受けることができます。
補助対象と支援内容の詳細
補助対象となるのは、子供や若者の支援を行う民間団体で、原則として社会福祉法人や特定非営利活動法人などの法人格を持ち、都内に活動拠点を有することが条件です。ただし都知事が認めた場合はこの限りではありません。
補助基準額は支援内容によって細かく設定されています。宿泊を含む居場所の提供と生活支援、相談支援を行う子供若者シェルターには1935万8000円、食事の提供などは1人1日あたり1720円、心理療法支援には728万6000円が補助されます。
日中の居場所提供や就労・就学支援には1人あたり676万1000円が支給され、最大2人まで対象となります。弁護士連携支援には312万円、送迎支援には1回あたり1860円が補助されます。
「家に帰りたくない、でも行く場所がない」
「20歳を過ぎたら児童福祉の支援も受けられなくなった」
「施設に入るのは抵抗がある、もっと自由に生活したい」
「虐待から逃げてきたけど相談する人もお金もない」
「アルバイトをしながら何とか生活してるけど限界」
こうした若者たちの切実な声が、この事業の背景にあります。既存の児童福祉制度では18歳未満が中心となっており、成人した20代の若者は支援の狭間に置かれることが多いのです。
子供シェルターの現状と課題
全国では2004年に東京で初めての子供シェルターが設立されて以降、各地で民間団体による取り組みが広がってきました。子どもシェルター全国ネットワーク会議に加盟する25団体のうち、19の地域で21施設が運営されています。
しかし運営には深刻な課題があります。東京都内で2004年に女子専用、2009年に男子専用のシェルターを開設した団体によると、2023年度の問い合わせ件数93件に対し、実際に受け入れできたのは26人にとどまりました。定員の限界や資金不足が大きな障壁となっています。
運営費用の確保が最大の課題です。国や自治体からの補助金が減額されたり、そもそも補助金が下りなかったりするケースがあり、福岡県や千葉県では開設から1〜2年で休止や閉鎖に追い込まれた施設もあります。
専門的な知識と経験を持つ職員の確保も困難です。24時間体制で若者に寄り添う必要があるため、職員の負担は大きく離職率も高くなっています。寄付やボランティアの協力なくしては運営できない状況が続いています。
小池知事の若者支援政策
小池百合子知事氏は2011年から東京都知事を務めており、現在4期目です。「2050東京戦略」という総合計画を掲げ、2050年代に目指す東京の姿を実現するため様々な政策を展開しています。
今回の子供若者シェルター事業は、戦略4「若者が将来に明るい期待を抱ける都市へ」の一環として位置づけられています。困難を抱える若者をサポートすることで、すべての若者が夢に向かってチャレンジできる社会を目指しています。
小池都政では少子化対策にも力を入れており、0歳から18歳までの子供に月額5000円を支給する「東京都子供・子育て支援」を実施しています。これは国の児童手当の所得制限撤廃につながるなど、全国の取り組みをリードしてきました。
給付金政策の問題点
ただし、こうした給付金や補助金政策については慎重な検証が必要です。2565万円という多額の税金を投入する以上、その効果を明確に示すことが求められます。
給付金は一時的な支援にはなりますが、根本的な問題解決にはつながりにくいという指摘があります。本当に必要なのは若者が自立できる雇用環境の整備や教育機会の提供であり、単に居場所を提供するだけでは不十分です。
また、民間団体への補助金支給には透明性の確保が不可欠です。適切に運営されているか、資金が正しく使われているか、実際に何人の若者が自立できたのかなど、具体的な成果指標を設定し定期的に検証する必要があります。
東京都は参院選で示された民意として「減税」を重視すべきです。給付金や補助金のばらまきではなく、都民の税負担を軽減することこそが、家計を助け経済を活性化させる近道です。
今後の展望と必要な対策
子供若者シェルター事業は2025年11月中旬頃にヒアリングと現地調査を実施し、12月中から下旬に交付決定を行う予定です。こども家庭庁も2024年度から全国規模で同様の事業を創設しており、各都道府県での整備が進められています。
しかし施設を増やすだけでは問題は解決しません。若者が家庭に居場所を失う根本原因である虐待や貧困、教育格差などの社会問題に取り組む必要があります。
シェルターは緊急避難的な支援であり、最終的には若者が経済的に自立し社会の一員として生活できるようにすることが目標です。就労支援や職業訓練の充実、企業との連携による雇用機会の創出など、出口戦略を明確にしなければなりません。
東京都には今回の事業の成果を丁寧に検証し、本当に効果的な若者支援のあり方を示すことが求められます。税金を使う以上、都民への説明責任を果たし、持続可能な支援体制を構築していく必要があります。