2025-09-02 コメント投稿する ▼
東京都が宿泊税見直しへ 観光公害対策と公平性の両立が焦点
東京都が宿泊税の見直しを本格化
東京都は2日、宿泊税の在り方をめぐり、有識者やホテル業界団体との意見交換を都庁で実施した。全日本ホテル連盟や日本ホテル協会の幹部ら6人が参加し、税率や使途のあり方について意見を交わした。年内に素案をまとめる方針で、制度改正に向けた検討が本格化している。
宿泊税は平成14年に観光振興を目的として導入された。現在は宿泊料金1万円以上1万5千円未満で100円、1万5千円以上で200円を定額で課税する仕組みとなっている。だが、外国人観光客の急増に伴いゴミ問題や交通渋滞といった「観光公害」が深刻化しており、都議会からは定率課税に改め、増収分を環境対策やインフラ整備に充てるべきだとの意見が相次いでいる。
「観光公害の負担は都民に集中している。税収はきちんと還元されるべきだ」
「宿泊者だけでなく日帰り観光客にも公平性を求めるべき」
「増税ありきではなく減税とのバランスも議論してほしい」
「宿泊税が観光客離れを招かないか心配だ」
「結局は泥舟政権と同じで、国民生活への視点が欠けている」
業界団体の懸念
全日本ホテル連盟は「宿泊税は利用者が負担するものであり、使途が明確に説明されることが不可欠だ」と強調した。一方、日本ホテル協会は「宿泊税は宿泊者のみに課される税であり、宿泊を伴わない来訪者との公平性を欠く」と指摘。税額拡大に否定的な立場を示し、課税対象を民泊など全ての宿泊者に広げることや定額制維持を求めた。
業界側からは、課税によって観光客数が減少することへの懸念も根強い。観光都市・東京の競争力を維持するためには、環境対策と観光振興をどう両立させるかが課題となる。
定率課税をめぐる議論
定率課税への移行は税収を大きく押し上げる可能性がある。例えば宿泊料が5万円なら現行制度の200円に対し、定率2%であれば1000円となり、財源確保の効果は絶大だ。しかし、これは高級ホテル利用者への負担増に直結し、観光客の選択行動に影響を与えるリスクもある。
一方で、観光公害対策の費用を確実に捻出するには現行の定額制では不足しており、制度の見直しは避けられないとの見方も強い。都は、利用者の負担感と都民生活の改善を両立できる税制度設計を迫られている。
東京都の宿泊税見直しが問う観光政策
今回の意見交換は8月から始まり、3回目で一区切りとなった。都は寄せられた意見を踏まえ、年内をめどに宿泊税見直しの素案を策定する方針だ。
東京都の宿泊税見直しは、単なる財源確保策ではなく、観光都市のあり方そのものを問う問題である。都民の負担軽減と観光振興の両立、そして公平性の担保が実現できるのか。観光公害が現実の課題として浮上する中で、政策の透明性と実効性が今後強く問われることになる。