2025-08-28 コメント投稿する ▼
東京都議会の政務活動費、執行率91% 広報紙費用が依然トップ
視察や研修費用は524万円で、新型コロナ禍で大幅に減少していた時期よりは持ち直したものの、平成30年度に1千万円を超えていた頃と比べると半減水準にとどまっている。 都議会は収支報告を公開し透明性を確保しているが、市民の信頼を得るには内容の吟味が欠かせない。 東京都議会も公式に収支を公開しており、一定の透明性を担保しているが、「公開しているから十分」とは言い切れない。
都議会政務活動費の執行状況と特徴
東京都議会は8月28日、令和6年度分の政務活動費(政活費)の収支報告書を公表した。交付総額7億3600万円のうち実際に使われたのは6億6940万円で、執行率は91・0%。前年度に比べ3・6ポイント低下した。都に返還される金額も増加しており、議員や会派の資金運用姿勢が改めて注目を集めている。政活費は議員1人あたり月50万円が上限であり、その適正利用は都民の関心事だ。
支出内訳では「広報紙・誌の発行費」が3億751万円と全体の40%超を占め、例年通り最大項目となった。ただし前年度より1千万円以上減少した。次いで多かったのは「人件費」で2億3936万円(全体の3割あまり)。その他「事務費」3803万円、「事務所費」3799万円などが続く。視察や研修費用は524万円で、新型コロナ禍で大幅に減少していた時期よりは持ち直したものの、平成30年度に1千万円を超えていた頃と比べると半減水準にとどまっている。
「結局いつも広報紙に大半が使われているのか」
「政活費は議員の活動実績アピール費用になっていないか」
「視察費用が戻ってきてもまだ半分なのは意外」
「執行率9割は高すぎる気がする」
「返還分があること自体は少し安心する」
会派別に見る執行率の差
会派別の執行率に目を向けると、自民が97・1%と最も高く、ほぼ全額を使い切った計算になる。これに対し、都民ファーストの会は84・6%、公明は83・7%と低めにとどまった。共産は92・0%と平均をやや上回る数値を示した。
執行率の高さが「積極的な活動の証」とも「無駄遣いの温床」とも受け止められる点が論争の的である。特に広報紙発行費は有権者への情報提供という正当性がある一方で、事実上の選挙広報との指摘も根強い。都議会は収支報告を公開し透明性を確保しているが、市民の信頼を得るには内容の吟味が欠かせない。
政務活動費を巡る全国の動向
地方議会の政活費をめぐっては、全国的に使途の透明化やチェック体制の強化が課題とされている。過去には他県で不正支出が問題化し、領収書添付の徹底やネット公開が進められた。東京都議会も公式に収支を公開しており、一定の透明性を担保しているが、「公開しているから十分」とは言い切れない。市民からは「公開は当然、さらに第三者機関による監査が必要」との声も少なくない。
一方、国会議員の文書通信交通滞在費(旧・文通費)も透明化が進まず、使途公開をめぐって議論が続いている。都議会の取り組みは国会と比べても一歩進んでいるとの評価もあるが、執行率9割という数字が果たして適正なのかは引き続き問われるだろう。
政活費の透明性と都民の視線
政活費は本来、政策調査や住民への説明活動のための公費である。都民が納めた税金を財源としている以上、1円単位まで正確かつ適正に使用されることが求められる。執行率が高水準で推移している現状は「無駄がない」とも「使い切りありき」とも受け取れるため、議会には説明責任が重くのしかかる。
今後は支出項目のバランスや必要性の検証、さらにはオンラインでの情報発信活用による広報費削減なども議論される可能性がある。都民の生活が物価高や税負担に直面する中で、議員自身が率先して効率的な支出を示すことが信頼回復の道筋となる。政活費の在り方は、議会制民主主義の健全性を映す鏡でもある。
東京都議会の政務活動費公開と透明性強化の必要性
今回の報告書で示された91・0%という執行率は、数字だけ見れば高い水準だが、内訳を精査すると改善の余地が多いことが分かる。広報紙中心の支出構造をどう是正するか、人件費や事務所費の使途が妥当か、視察費用の適切性をどう担保するか。都議会の説明と改善努力が問われている。都民の目は厳しく、その信頼を得るためには、さらなる透明性と合理性を伴った制度運用が不可欠である。