2025-06-06 コメント投稿する ▼
田村貴昭氏「マイナ保険証は不安定」 札幌病院の障害事例から見えた全国的リスク
マイナ保険証が終日停止 札幌で起きた“見えなかったリスク”
全国で導入が進むマイナンバーカードを利用した「マイナ保険証」に、再び重大なトラブルが起きた。5月15日、札幌市の市立札幌病院において、資格確認機能が丸1日利用できなくなる障害が発生。衆議院厚生労働委員会でこの問題を取り上げたのは、日本共産党の田村貴昭衆院議員だ。
田村氏は、同障害の原因が病院内のパソコンに施された「Windows11」へのアップデートに伴う端末の回線認証情報の削除だったことを指摘。「こうした事例は、自治体の病院に限らず、全国のあらゆる医療機関で起こりうる」と述べ、制度全体の設計の甘さとリスク管理の不備を厳しく批判した。
「一度ダウンすれば“健康保険証が使えない”って、もはや医療崩壊」
「札幌のような大病院で丸1日使えないって恐ろしい」
「結局、最後に役立つのは紙の保険証なんだよね」
こうしたSNS上の声は、マイナ保険証への過度な依存に警鐘を鳴らす田村氏の立場に共感を寄せるものとなっている。
厚労省は「他機関に波及の可能性は不明」
衆院厚労委での質疑では、田村氏が「全国保険医団体連合会(保団連)にも同様の相談が寄せられている」として、他医療機関への波及リスクの調査を求めた。
しかし、厚労省の鹿沼均・保険局長は、「現時点で他の医療機関に同様の影響が出ると判断できない」との答弁にとどまり、問題の深刻さに対する危機意識の温度差が浮き彫りとなった。
田村氏はこの姿勢に対し、「資格確認が一日中できなかったという重大事態を“たまたま”で済ませてはならない」と批判し、再発防止策や全体の検証の必要性を強く訴えた。
「頼りになるのは従来の保険証」田村氏が制度設計を批判
札幌市病院局によると、今回のトラブルによる直接的な被害は7人の患者に及んだが、診療できなかったケースはなかった。その背景には、病院側が再診の患者情報を把握していたことや、多くの患者が従来の紙の健康保険証を携帯していたことがある。
田村氏はこの点を取り上げ、「国が廃止を決めた保険証が、実際には患者確認の“最後の砦”になっている」と指摘。マイナ保険証一辺倒の制度運用に警鐘を鳴らした。
「マイナ保険証の完全移行を強制するのではなく、従来の保険証を当面存続させることが現実的であり、国保の資格確認書をすべての被保険者に送付するなど、利用者保護を最優先にすべきだ」と述べ、政府の方針転換を強く求めた。
「やっぱり“保険証を持っていれば大丈夫”って安心感は大事」
「現場が守ってるだけで、制度が信頼されてるわけじゃない」
「高齢者や子どもへの配慮なきデジタル化は危険」
現実には、システム障害の発生が誰にも予測できず、回避策も乏しい中で、患者の命と医療の安全が“紙の保険証”に救われた格好だ。
「便利さ」より「安全性」 今こそ制度の再設計を
マイナンバーカードの一体化政策は「利便性の向上」と「行政の効率化」を前面に打ち出して進められてきた。しかし、今回のように基本ソフトの更新一つで認証情報が消え、本人確認が不可能になる事態が発生すれば、その“便利さ”は瞬時に“危険”へと転じる。
田村氏の主張は、デジタル化を無批判に推進するのではなく、制度の信頼性や安全性を根本から見直すべきだという警鐘である。
国民の命と健康を扱う制度である以上、「止まらない仕組み」「戻せる手段」「誰でも使える設計」が前提でなければならない。その原則を踏まえずに突き進む政策に対して、今、立ち止まるべき時が来ている。
参院でもこの問題が取り上げられる可能性が高くなっており、「紙の保険証を残せ」という声が今後さらに広がる可能性も出てきている。田村氏の追及は、マイナ保険証をめぐる政策全体に一石を投じたと言える。