国保料滞納世帯も医療費窓口3割負担へ 厚労省が自治体に新運用周知

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国保料滞納世帯も医療費窓口3割負担へ 厚労省が自治体に新運用周知

厚生労働省は2025年10月17日、国民健康保険制度(以下「国保」)料(税)を滞納している世帯に対し、医療機関窓口での自己負担が一律「10割」ではなく、滞納世帯が「窓口で10割負担が困難」という申し出をした場合に、自治体の判断で「3割負担とし、残り7割を自治体が医療機関に直接支払う」という取り扱いが可能になるとの事務連絡を出しました。

国保料滞納世帯も窓口負担3割へ 厚生労働省が全国自治体に事務連絡


厚生労働省は2025年10月17日、国民健康保険制度(以下「国保」)料(税)を滞納している世帯に対し、医療機関窓口での自己負担が一律「10割」ではなく、滞納世帯が「窓口で10割負担が困難」という申し出をした場合に、自治体の判断で「3割負担とし、残り7割を自治体が医療機関に直接支払う」という取り扱いが可能になるとの事務連絡を出しました。

それまで、保険証の新規発行停止措置によって滞納世帯は「資格証明書」を交付され、医療を受ける際にまず窓口で10割負担し、その後市区町村から7割分が特別療養費として支給される方式となっていました。今回の改めての周知により、最初から3割負担として受診できる可能性が明確化されました。出典として国保制度の“保険証返還 資格証明書交付”運用通知があります。

なぜこのような対応に至ったか


国保料滞納世帯に窓口負担10割を求める方式は、受診控えや重症化のリスクを伴うとして長く課題とされてきました。今回、田村貴昭衆議院議員(日本共産党)が2025年8月1日付質問主意書で「滞納世帯の窓口負担軽減を明確にするよう政府に要求」し、8月15日の答弁で政府が「市町村判断で3割負担にできる」と明言したことが契機となりました。

これを受け、今回の厚労省による事務連絡で改めて全国の自治体に働きかけがなされました。制度的に“申出があれば”という形式ではあるものの、滞納世帯に対して窓口負担軽減の道が、制度上明確化された点は評価できます。

留意すべきポイントと課題


ただしこの制度には、いくつか留意すべき重大なポイントがあります。第一に、窓口負担を3割に軽減するのは「滞納世帯からの申し出がある場合に、自治体が判断して行う」という形式になっており、申出手続きや自治体の運用体制により対応がばらつく可能性があります。第二に、申出をせずに“従前どおり10割負担”で受診を強いられてしまうケースも想定され、実効性・周知が鍵となるでしょう。第三に、根本には「なぜ滞納となるか」という保険料の高負担・困窮世帯の実態が横たわっています。制度として医療アクセスを保障すべきですが、今回も“応急的軽減”にとどまっており、保険料そのものの負担軽減策とセットでなければ、医療・社会保障の持続可能性を揺るがしかねません。

政党・行政対応と今後の焦点


自公政権下で、国保料滞納の是正と負担公平の観点から厳しい措置がこれまで講じられてきたのが現状です。今回の対応は滞納世帯を放置せずに医療アクセスを確保する意味で前進ですが、背景にある「高すぎる国保料」の問題から目をそらすわけにはいきません。物価高・所得低下の中で滞納が増える可能性を踏まえ、国と自治体は、減税・給付削減ではなく「保険料軽減+保険制度改革」にも着手する必要があります。今後、自治体ごとの運用状況、公表された滞納世帯の実態データ、そしてこの措置が受診控えや重症化の防止につながるかが焦点となります。


滞納世帯に医療を受ける機会を確保するための今回の厚労省の事務連絡は、制度運用上の“救済の扉”を開いたと言えます。とはいえ、これは応急対応であり、保険料の高止まり、滞納の根底にある困窮状態、自治体間での運用格差など解決すべき構造的課題を覆い隠すものではありません。政府・自治体には、滞納の背景究明と制度設計の抜本見直しが求められます。

コメント: 1件

2025-10-21 10:07:39(S.ジジェク)

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上記の田村貴昭の活動をどう思いますか?

コメント

これ地方自治体崩壊しないか?

2025年10月21日 10:16 三島

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