2025-10-23 コメント投稿する ▼
金子恭之国交相がオーバーツーリズム「深刻」と認識 北陸新幹線延伸は「丁寧に」
高市早苗内閣で国土交通相に就任した金子恭之氏が2025年10月23日、インタビューに応じ、オーバーツーリズムについて「深刻な状況だ」と指摘しました。 政府は2030年の訪日客数6000万人を目指していますが、金子氏はオーバーツーリズムについて「深刻な状況だと認識している」と述べました。
「ど真ん中」のインフラ整備25年
金子氏は就任について「これまでの25年の政治生活の中で、国土交通行政は『ど真ん中』にある」と語りました。インフラ整備を都市部から地方まで幅広く手がけてきた経験を強調した上で「幅広く分かっているつもりではあるが、これから大臣として答弁し、施策を進める立場。深くいろいろな施策に理解をしていかなくては。頭がパンパンになる思いで、プレッシャーもやりがいもある」と率直な心境を明かしました。
金子氏は熊本4区選出の衆議院議員で、当選9回のベテラン議員です。2025年10月21日に発足した高市内閣で国土交通相に就任しました。国土交通省の大臣ポストは2012年以降の自公政権では公明党からの起用が続いていましたが、自民党からの起用は2009年以来16年ぶりとなります。公明党が連立を離脱し、日本維新の会と新たな連立を組んだことに伴う人事です。
「国土交通相が自民党に戻ったのは大きな変化だ」
「公明党から重要ポストを奪還したって感じだな」
「インバウンドで稼ぐか、地域住民を守るか、難しい舵取りだ」
「北陸新幹線、ルート問題で維新と揉めそう」
「25年の経験があっても、頭パンパンって正直でいいね」
インバウンド急増とオーバーツーリズムの深刻化
政府は2030年の訪日客数6000万人を目指していますが、金子氏はオーバーツーリズムについて「深刻な状況だと認識している」と述べました。インバウンドが引き続き3大都市圏に集中し、混雑やマナー違反の問題があると指摘し、受け入れと地域住民の質の確保の両立に留意しながら、地方誘客の促進などを進める方針を示しました。
観光施策の充実に必要な財源についても、予算編成過程で十分議論すると言及しています。政府は2023年10月にオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージを決定しており、観光客の集中による過度の混雑やマナー違反への対応、地方部への誘客促進、地域住民と協働した観光振興を3本柱としています。
2024年に日本を訪れた外国人観光客は約3700万人に達し、富士山、奈良、京都といった地域社会に大きな負担を強いています。各地では入域料の導入や混雑緩和策が進められており、2025年7月から富士山の吉田ルートには4000円の入山料が必要になりました。
能登半島復興とインフラ整備
能登半島の復興については「2次災害に直結する切迫した被災箇所の応急対策は終了した。インフラの機能回復対策、本復旧が順調に進んでいる」と説明し、復興に向け最大限努力すると述べました。
金子氏は運輸省入省翌年に御巣鷹山の墜落事故への対応を経験しており、「多くの犠牲者が出るような事件、事故、災害を誰よりも憎む」との信条を持っています。人命最優先の姿勢を貫いてきた経験が、防災・減災対策にも活かされることが期待されています。
北陸新幹線ルート問題で維新と距離
北陸新幹線の新大阪延伸について、敦賀以西のルートを再検証する必要があるかと問われた金子氏は「(ルートについては)さまざまな意見があると承知している」としつつ、「1日も早い全線開業に向け、丁寧かつ着実に取り組む」と答えるにとどめました。
北陸新幹線の敦賀から新大阪間は、2016年に小浜・京都ルートで建設することが決定していますが、建設費の高騰や環境問題、京都府市での反対論などがあり、いまだに着工できていません。2025年7月の参議院選挙では、米原ルートの再検討を唱えた日本維新の会の議員がトップ当選し、与党の新幹線整備委員会委員長を務める西田昌司参院議員が、ルートの費用対効果を再試算すると表明しています。
連立を組む日本維新の会とは、北陸新幹線のルートやライドシェアなどの政策で隔たりがあることについて、金子氏は「個別の政策について、各関係者とよく議論をして進めていきたい」と述べるにとどめ、具体的な対応については言及を避けました。
北陸新幹線敦賀から新大阪間の建設費は、京都駅のルート案によって異なり、物価上昇を加味すると4.8兆円から5.3兆円とされています。工期は最長で28年かかる見込みで、最速で着工しても開業は2050年代になります。自民党と維新の会の政策の隔たりが、今後の新幹線整備にどう影響するかが注目されます。