2025-08-08 コメント投稿する ▼
自民党内で高まる総裁選前倒し論 野党寄り姿勢に反発強まり「石破降ろし」加速も実現は困難
自民党内で勢い増す総裁選前倒し論 石破首相、野党寄り姿勢に反発強まる
参院選での惨敗を受け、自民党内では石破茂首相(党総裁)に対する求心力低下が顕著になっている。
8日の両院議員総会では、総裁選の前倒しを求める声がさらに勢いを増した。首相が物価高対策や企業・団体献金の見直しを巡り、野党との協議に前向きな姿勢を示したことが、党内の保守派を中心に「野党迎合」との批判を呼び、退陣論を一層加速させている。
続投固執の首相と、広がる前倒し要求
総会後、首相は官邸で記者団に対し「米国との関税交渉にきちんと道筋をつけ、あらゆる業種の方々に安心していただくことがわが党の責任だ」と語り、続投の正当性を強調した。しかし、総会では先月28日の両院議員懇談会に続き、「総裁選を前倒しすべきだ」との意見が相次いだ。首相は「党則に則ってきちんと運営することに尽きる」と述べるにとどまり、前倒し論に正面から応じなかった。
首相は「政治空白を生まない」ことを理由に掲げるが、柴山昌彦元文部科学相は「国政を停滞させることなく総裁選は実施できる」と反論。党内での溝は広がる一方だ。
野党協調発言が火に油
4日の衆院予算委員会で、立憲民主党の野田佳彦代表が物価高対策を巡って「与党として真剣に協議する可能性はあるか」と問うと、首相は「給付つき税額控除は一つの解だ」と述べ、協議に応じる意向を表明した。
また、企業・団体献金の見直しでも、党内での事前協議なく立民との協議入りを容認。これに自民中堅は「首相は国民ではなく野党ばかり見ている」と苦言を呈した。総会でも「党内の意見を聞いて進めてほしい」との不満が出た。
「野党と歩調を合わせる姿勢は支持できない」
「減税ではなく給付金に寄るのは本末転倒」
「党内手続きを軽視している」
「今の自民は存在感が薄い」
「石破首相の政治姿勢が見えない」
前倒し実現には高いハードル
総裁選前倒しには、党所属国会議員と都道府県連代表者の過半数の要求が必要だ。署名集めを進める議員もいるが「過半数を集めるのはなかなか難しい」との声も漏れる。さらに、仮に前倒しが決まっても「ポスト石破」として党内が一致できる候補が不在であることが、首相の強気を支える要因になっている。
ある自民ベテランは「石破首相が辞めても、その後の展望を誰も描けていない」と述べ、政権移行の不透明さを指摘する。
「石破降ろし」は成るか
党内の不満と焦燥感は高まっているが、総裁選前倒し実現には制度的な壁と人材不足という二重のハードルが存在する。石破首相は野党との協議姿勢を通じて「与野党協調型政治」を模索するが、それが党内基盤を削っているのも事実だ。参院選敗北を契機に、党内権力闘争は一層激しさを増しつつある。