2025-08-04 コメント投稿する ▼
石破首相の「合意文書なき交渉」に批判高まる トランプ氏発表に滲む“対日圧力”と属国懸念
文書なしの「日米合意」に市民の不安広がる
4日の衆議院予算委員会で明らかになった日米関税交渉をめぐる石破茂政権の対応が、波紋を呼んでいる。焦点となったのは、アメリカ・トランプ前大統領との間で合意に至った関税協議の内容について、公式な文書が交わされていないという事実だ。
この点を厳しく追及したのが、立憲民主党の野田佳彦代表だった。「文書がなければ拡大解釈され、日本はまた一方的に“ぼられ続ける”のではないか」。野田氏の言葉は、過去の交渉でも明文化された内容すら無視された例があるという事実を踏まえてのものだ。
石破首相はこれに対し、「相手は普通の人ではない。ルールを変えると言う人だ」と語り、「文書を作ることで関税引き下げが遅れることを最も恐れた」と反論。文書を交わさなかったのは、国益を最優先した“現実的な判断”であると主張した。
しかし、首相のこの説明がかえって火に油を注いでいる。「普通の人ではない」相手にこそ、交渉内容を明文化する必要があるのではないか――そうした疑問が、有権者の間に広がっている。
トランプ氏の一方的な発表に日本の影なし
さらに不安を増幅させたのが、当のトランプ氏自身による発表内容だ。彼は交渉の成果について、自らの再選に向けたアピールとして強調しているが、その中には「日本市場のさらなる開放」「自動車関税の維持」「農産品の大幅な関税撤廃」など、日本にとって不利とされる条項が含まれている。
しかし、日本政府からはそれを否定する公式文書も説明も出ておらず、国会でも「合意文書はない」と繰り返されるばかり。石破政権としての見解すら、相手の発言に対する“確認”や“牽制”すらないのが現状だ。
この“沈黙”が、かえって「日本は何も主張していないのではないか」という疑念を深めている。
「なぜ日本だけ文書がない?普通はまず書面残すでしょ」
「“普通の人じゃない”のが相手なら、なおさら記録残せよ」
「トランプの発表見る限り、全部日本に不利。これが国益守った結果?」
「言った言わないになったら、負けるのは日本」
「まるで属国扱い。どこが“対等なパートナー”なんだよ」
こうした声は、政府与党の支持層からも漏れ始めている。かつての「日米地位協定」や「密約問題」を連想させるような、主権の不在感が広がっているのだ。
「石破外交」に漂う対米追従の色
石破首相はこれまでも「現実主義」と「国益優先」を前面に掲げ、前任の岸田政権とは一線を画す外交姿勢を示してきた。特に対米関係では、「信頼構築」を軸に実務的なアプローチを重視してきたとされる。
だが今回のように、合意内容を国内にも明示しないまま、事実上の“言い値”で交渉を終えたような形は、「属国的」との批判を避けることは難しい。しかも相手は、政権復帰を狙うトランプ氏だ。再びホワイトハウスに返り咲いた場合、さらなる圧力が加えられるのは必至である。
一方、政府側は「世界的に見ても文書を交わさない交渉スタイルが増えている」と強調。赤沢亮正経済再生担当相は、「アメリカは多国間で交渉を進めており、文書作成にこだわって交渉が停滞するのを避けた」と述べた。
だが、これは本当に日本のための判断だったのか。それとも、アメリカのスケジュールに合わせただけではないのか。明文化もないまま、「相手の誠意」を信じて交渉を終える外交に、国民の不信は募るばかりだ。
石破政権は「説明責任」を果たせるのか
外交は秘密性が高い分、政府の説明責任がより重要になる。石破政権が「国益のため」と繰り返すのであれば、その根拠を国民に示す必要がある。
今回の関税交渉は、一見すれば「文書がない」という単なる形式の問題に見えるかもしれない。しかし、主権国家としての意志表示や交渉力、そして将来への備えという点で、極めて本質的な問題を孕んでいる。
もし、今後アメリカ側が「日本はこう約束した」と一方的に主張した場合、日本側にそれを否定する材料は何もない。その時に、「慎重に考えた結果」とした石破首相の判断は、果たしてどう評価されるのか。
外交で問われるのは、最終的に「結果」である。石破政権にとって、今回の一手が“先手”となるのか、それとも“失策”となるのか。いずれにせよ、日本の立場と尊厳がかかっていることだけは確かだ。