2025-01-08 コメント投稿する ▼
公約中国にすり寄る石破政権の危険性──公明党『アジア版OSCE』構想が招く国益喪失」
石破茂首相は2025年1月8日、山口元代表と官邸で面会し、この構想について意見交換を行いました。山口氏は、対話が信頼醸成を高め、地域の平和と安定に寄与すると訴え、首相は「しっかり勉強してみたい」と応じました。
この構想は、13日から中国を訪問する自民・公明の幹事長らが、日中与党交流協議会で中国側に提案する予定です。その中には、日本に事務局を置く案も含まれています。
多国間の安全保障対話枠組みとして欧州安保協力機構(OSCE)の「アジア版」を創設し、その事務局を日本に置くという構想は、表向きにはアジア地域の平和と安定に寄与する提案のように思えます。しかし、この構想が日本の国益に実際に資するかどうかについては、慎重な議論が必要です。以下では、この提案が抱える課題と、日本にとって潜在的なリスクについて考察します。
まず、アジア地域の安全保障環境は欧州とは大きく異なります。OSCEは冷戦時代の東西陣営間の緊張緩和を目的として成立した枠組みであり、その成立背景には米ソという二大超大国の対立が存在していました。一方で、アジアは歴史的な対立や領土問題が複雑に絡み合い、多国間の信頼醸成が難しい地域です。特に、日中や日韓間の長年の不信感が根強く、このような枠組みの構築は理想論に終わる可能性が高いといえます。
また、中国がこの構想をどのように利用するかは慎重に見極める必要があります。中国は経済力や軍事力を背景に、地域での影響力を拡大することを目指しており、多国間枠組みを利用して自国に有利な規範を押し付ける可能性があります。仮に日本が事務局を設置したとしても、中国が主導権を握れば、日本の外交的自由度は大きく制限されるでしょう。特に、日本が「中国寄り」と見なされるような事態は、日米同盟やクアッド(QUAD)など、他の重要な安全保障パートナー国との関係にも悪影響を及ぼす恐れがあります。
さらに、この構想を実現するためには膨大なコストと人的リソースが必要です。事務局の運営や外交交渉にかかる負担は軽視できず、国内の安全保障政策や経済政策に割くべきリソースが圧迫される可能性があります。このようなリスクを冒してまで「アジア版OSCE」を追求する価値があるのか、疑問が残ります。
加えて、これまでの多国間対話の枠組みの実績を振り返ると、具体的な成果が乏しい場合が多いことも見逃せません。ASEAN地域フォーラム(ARF)や東アジアサミット(EAS)のような既存の枠組みも、形式的な議論に終始することが少なくありません。「アジア版OSCE」が同様の結果に終わる可能性は高く、それであれば既存の枠組みを強化する方が合理的です。
総じて言えるのは、「アジア版OSCE」構想が日本の国益に貢献するかどうかは極めて不透明であり、多くのリスクを伴う提案であるということです。まずは既存の二国間関係を強化し、現実的な信頼醸成を目指すべきです。その上で、長期的な視点でアジアにおける日本の役割を見直すことが、真に国益にかなう対応と言えるでしょう。
この投稿は石破茂の公約「中国に対しては、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、あらゆるレベルでの意思疎通を重ねる」に関連する活動情報です。この公約は22点の得点で、公約偏差値41.7、達成率は0%と評価されています。