2025-07-09 コメント投稿する ▼
石破首相「なめられてたまるか」発言が波紋 保守層や野党から「対中にも言え」の声噴出
トランプ関税交渉で「なめられてたまるか」発言 選挙演説が外交に波及
参院選の街頭演説中に飛び出した石破茂首相の強気発言が、思わぬ波紋を呼んでいる。
首相は7月9日、千葉県船橋市での演説で、トランプ前米大統領との関税交渉について言及し、「国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか。たとえ同盟国であっても、守るべきものは守る」と明言。選挙戦の盛り上げを意識した発言とみられるが、その余波はSNSや政界にまで広がった。
とくに問題視されたのは、この発言が“選挙パフォーマンス”であり、現実の外交交渉を難しくするリスクをはらんでいる点だ。
「トランプに伝わる」「選挙で言う話ではない」自民党内からも苦言
与党・自民党内からも、石破発言に懸念の声が相次いだ。佐藤正久参院議員は10日、自身のXで「この発言、確実にトランプ大統領に伝わる。より交渉のハードルを上げてしまった感。選挙で言う話ではない」と苦言を呈した。
さらに、「最後の砦」である経済交渉担当の赤沢亮正大臣に負担が集中しかねないとも指摘。政治的アピールが外交実務の妨げになるとする懸念が、与党内からも出ていることになる。
「石破さん、口だけでなく結果で示して」
「赤沢大臣が可哀想すぎる。フォロー不能」
「アメリカには吠えて、中国には沈黙?」
「選挙向けに虚勢張るのやめてくれ」
「“なめられてたまるか”はいい。でも使いどころを間違えるな」
「それを中国に言え」SNSで広がる“対中弱腰”批判
保守層を中心にSNSで最も多く寄せられたのが、「それを中国に言え」という声だ。
現に、元衆院議員の長尾敬氏は、東シナ海で航空自衛隊機に中国軍機が異常接近した事案に触れ、「今日、なめられてたまるか、と中国に強い厳重な抗議をしてください」と首相に訴えるショート動画を投稿した。
尖閣諸島周辺での中国公船の活動や、東シナ海での資源開発、台湾海峡をめぐる緊張といった懸案が山積するなかで、首相がアメリカに対しては強硬な姿勢を見せる一方、中国に対しては目立った発言を避けているという印象が、一層の不満を呼んでいる。
「“なめられてたまるか”を言う相手、間違ってる」
「中国に忖度してるのが見え見え」
「選挙だけ勇ましい、典型的な内弁慶」
「尖閣で毎日中国船が来てるんですけど」
「対中スパイ防止法は?なぜ言及すらしないのか」
野党からも「内弁慶パフォーマンス」批判
野党からも批判の声が上がった。立憲民主党の小沢一郎衆院議員(事務所)は10日、自身のXで「トランプ大統領に直接言うべき。選挙向けの内弁慶のくだらないパフォーマンスはやめるべき」と厳しく指摘。選挙戦の盛り上げのためだけに外交カードを使うことへの懸念を示した。
こうした批判は、外交を“選挙演説の道具”として使うべきではないという警戒感にもとづくもので、今回の発言が首相としてのバランス感覚を欠いていたのではないか、という疑問も浮上している。
外交で必要なのは「対等な交渉力」、媚びず、騒がず、主張を
「なめられてたまるか」という強い言葉は、国益を守る姿勢として本来歓迎されるべきだ。しかし、相手を選んでその言葉を使うのでは、単なる選挙用の演出としか見なされない。
対米交渉でも、対中外交でも、日本の立場を主張するには、怒鳴るのでもなく、忖度するのでもなく、冷静かつ一貫した原則と戦略が必要だ。選挙向けの威勢のいい言葉に終始するようでは、むしろ相手国からの信頼を損ない、逆に交渉力を削ぐことにもなりかねない。
国民が求めているのは、内弁慶の外交パフォーマンスではなく、真に国益を守る胆力ある外交リーダーである。