2025-07-04 コメント投稿する ▼
石破首相「コメは譲れぬ国益」 トランプ氏に反論も、関税の仕組みに疑問の声
トランプ氏発言に反論「関税払ってでも輸入している」
石破茂首相は7月4日、福島県白河市で農家との車座対話に臨み、トランプ米大統領の「日本は深刻なコメ不足なのに、米国のコメを受け取らない」との発言に反論した。「関税を払ってでもカリフォルニア米を輸入している。きちんと認識してもらわないといけない」と述べ、日本が米国産米の輸入を拒否しているという見方を否定した。
さらに石破氏は「輸入によって日本のコメ作りが減ることは、独立国家としてあってはならない」と強調。コメの増産と、価格下落時の農家支援を通じて国内農業を守る姿勢を明確にした。
しかし「関税を払っている」は正確か?
石破氏の「関税を払ってでも輸入している」という表現に対しては、制度的な正確さを疑問視する声もある。そもそも関税は、日本政府が課しているものであり、支払っているのは輸入業者、つまり最終的には商品を購入する日本の消費者だ。関税を受け取っているのは日本政府であり、アメリカではない。
「関税を払ってるのは政府じゃなくて、私たち消費者」
「“関税払ってでも”って言い回しは誤解を招く」
「石破首相の発言、国益アピールとしてはわかるけど、関税の仕組みはちゃんと説明してほしい」
カリフォルニア米の関税は、日本政府がコメの国内生産保護のために定めている措置であり、それによって価格が引き上げられているのは事実だが、米国が輸出できないのは関税のせいではなく、輸入枠の制限なども関係している。こうした制度設計に基づき、日本は義務的に一定量の外国産米を輸入している。
国益交渉の構えは評価も、発信力には課題
石破首相はその後の街頭演説でも、「米国を相手に正々堂々、国益を守る交渉をする。簡単に妥協はしない」と語り、農業や自動車など基幹産業における対米交渉に強気の姿勢を示した。この発言は国内農業関係者や地方有権者には一定の安心感を与えるが、制度や言葉の使い方の不正確さは、批判の的にもなりかねない。
一部の識者からは「選挙前のパフォーマンスとしては理解できるが、貿易制度に対する誤解を助長するような言い回しは避けるべき」との指摘もある。
「農を守る」覚悟が問われる局面
石破首相が打ち出す「農を守る国益交渉」は、保守層や農村部に対するアピールとして強く響く。一方で、その言葉の正確性や貿易に関する理解も問われる局面にある。日本の農業をどう守るかは、制度・経済・外交のすべてにまたがる難題だ。
「言うべきことは言う」リーダーとしての発信力が、実効性のある政策と一体となることが、今後の政権運営には欠かせない。