2025-06-11 コメント投稿する ▼
自民党が中選挙区制の再導入を検討課題に 令和版「政治改革大綱」論点整理案を提示
自民党が「中選挙区制」再導入を検討課題に明記 令和版・政治改革大綱へ論点整理案
自民党は11日、新たな「政治改革大綱」の策定に向けた論点整理案をまとめ、1990年代前半に廃止された中選挙区制の再導入を、衆議院選挙制度改革の検討課題として提示した。小選挙区比例代表並立制に代わる新たな制度設計を探る中、派閥政治の負の遺産に決別する一手として、中選挙区制の再評価に踏み切る可能性が浮上している。
12日に予定される自民党政治改革本部の会合では、この論点整理案を土台として具体的な議論が開始される。背景には、リクルート事件後の1989年にまとめた旧「政治改革大綱」から約35年が経過し、現行制度が抱える弊害と、国民の政治不信の根深さを直視する必要があるとの認識がある。
二大政党制の限界と小選挙区制の副作用
論点整理案では、現在の小選挙区比例代表並立制について、「二大政党制の形成に限界がある」と明記。制度導入当初に期待された「政権交代のある政治」や「政策本位の選挙」が、現実には実現されていないとの問題意識が示された。
また、現行制度が生んだ“死票の多さ”や、候補者の政党依存、地域代表性の乏しさといった課題が浮き彫りになっており、選挙制度の見直しは避けて通れないというのが自民党内の空気だ。
中選挙区制は、かつて1選挙区あたり3〜5人を選出する仕組みで、政党内の競争や、地域に根差した政治家の育成という側面では一定の成果もあった。もっとも、「金権政治の温床」として批判された過去もあり、再導入には慎重論も根強い。
「今の小選挙区制は党の顔色をうかがう政治家ばかり生んでる」
「中選挙区なら無所属や新人も戦える余地がある」
「でも昔のように金のかかる選挙に戻ったら本末転倒」
「連記制は面白い。本命と準本命に分けて投票できるのは新しい」
「結局、自民が生き残るための制度いじりでは?」
「連記制」「投票義務」など新機軸の検討も
注目すべきは、単なる中選挙区制への回帰ではなく、新たな選挙制度のオプションとして「連記制」の導入も検討課題に含めた点だ。これは、1つの選挙区で有権者が複数の候補に順位をつけて投票できる仕組みで、少数政党や無所属候補にもチャンスを与える可能性がある。
また、低迷が続く投票率の改善策として「投票の義務化」も提案。諸外国ではすでに義務投票制を採用している国もあり、導入には賛否両論あるが、国民の政治参加を促す制度的アプローチとしては一つの方向性といえる。
ただし、投票義務制には罰則の有無や、プライバシーの問題、憲法上の自由権との整合性といった論点が控えており、単なる“思いつき”ではなく慎重な設計が不可欠だ。
自民党の「自己改革」に本気度はあるのか
政治資金規正法の改正に消極姿勢を見せた自民党が、「政治改革」を掲げる姿勢に対しては、野党や有権者の目も厳しい。中選挙区制を再評価すること自体は選択肢の一つだが、「党利党略」との批判を避けるには、公開の場での議論や、超党派での制度設計が必要不可欠だ。
加えて、制度の見直しだけでなく、政党内ガバナンスの透明性、派閥文化の清算、企業・団体献金の禁止、さらにはインボイス制度の見直しなど、「政治の信頼回復」には広範な改革が求められる。
現状維持バイアスに抗い、制度疲労を克服するには、単なる形式論を超えた中身の議論が国会で求められている。自民党が本当に“令和の政治改革”を主導する覚悟があるのか、国民は冷静にその行方を見つめている。