2025-06-10 コメント投稿する ▼
公約自衛官の充足率89%に低下 定年延長や処遇改善も限界 石破政権に問われる抜本対策
自衛官の充足率、4年連続で低下 深刻な人材不足に歯止めかからず
政府は6月10日、自衛官の処遇改善に向けた関係閣僚会議を首相官邸で開催し、令和6年度末時点での自衛官の「充足率」が前年度比1ポイント減の89%にとどまったと公表した。これで4年連続の低下となり、自衛隊の人材確保がかつてないほど困難な状況に陥っていることが明らかになった。
政府はこの間、給与の引き上げや住環境の整備、福利厚生の充実といった処遇改善策を講じてきたが、結果として若年層の新規応募者数や入隊率の回復には結びついていない。人材確保という国家安全保障の根幹が揺らいでいるにもかかわらず、政府の対策は効果を上げきれていない。
石破茂首相は会議の冒頭、「自衛官の人材確保を達成するため、政策の見直しや新たな方策を検討し、柔軟に実施するように」と関係閣僚に指示を出した。かつて防衛庁長官も務めた石破氏は、現場の課題を熟知しており、今回の充足率低下には強い危機感を持っているとみられる。
定年引き上げと叙勲拡大 経験人材の活用に活路
今回の閣僚会議では、自衛官の定年延長についても具体策が示された。令和14年までに、任期制でない一般隊員の定年を段階的に2歳引き上げる。たとえば、統合作戦司令官や各幕僚長といった最上級幹部の定年は、現行の62歳から64歳へと見直される見通しだ。
この措置は、現場に精通したベテラン人材の活用を意図したものであり、人材流出の防止と即戦力の確保を狙った施策といえる。ただし、根本的な若年層の確保には直結しないため、恒常的な人員不足の解決には限界があるとの見方も根強い。
また、幹部自衛官への叙勲制度も見直され、これまで対象外だった1佐クラスを含め、生前の叙勲の幅を広げる方針が示された。これにより、自衛官の職務への社会的評価を高め、志願意欲の向上を図る狙いがある。
「叙勲を拡大しても、現場で苦しむ隊員の待遇は変わらない」
「定年延長はありがたいが、体力勝負の現場にどこまで通用するか」
「若者が敬遠する構造を変えない限り、根本的な解決にはならない」
「誇りだけでは志願者は増えない。待遇・未来・使命がセットで語られるべき」
「国を守る人材にもっと正当な評価と報酬を与えるべきだ」
こうした声が示すように、定年延長や叙勲の拡大はあくまで対症療法にとどまり、構造的な問題への抜本的改革が求められている。
なぜ若者は自衛隊を敬遠するのか 変わるべきは組織文化と国家の姿勢
若年層の自衛官志願率の低下には複数の要因が絡んでいる。給与水準の低さ、勤務地の不確定性、災害派遣を含む激務といった勤務環境の厳しさに加え、昨今はハラスメント問題や任務中の事故報道も影響しているとされる。さらに、将来のキャリア形成や民間企業との待遇差なども大きな要因だ。
防衛は国家の最優先事項であり、自衛官はその最前線に立つ存在であるにもかかわらず、現状ではその社会的評価と報酬は見合っていないのが実態だ。志願者が減少しているのは、「自衛官として生きる」ことへの希望が持ちづらくなっている現実の裏返しである。
とりわけ、国防を支える職業に「誇り」だけでなく「展望」や「生活の安定」が必要な時代において、政府がどれだけ本気で処遇改善に取り組むかが問われている。
政治の責任として防衛人材の確保を 憲法議論とも連動を
今後の自衛官充足率の回復には、待遇改善にとどまらず、憲法9条を含む安全保障政策全体の明確化も避けて通れない。現行憲法との矛盾を抱えたままの自衛隊の法的位置づけや、「必要だが語れない存在」としての扱いが続く限り、志願者にとっての魅力は上がりづらい。
自衛官を「使い捨て」にせず、国家としてその存在に正当な地位と責任を与える――そのためには、憲法改正を含めた真摯な議論が不可欠である。石破政権のもとでこの議論が前進するかどうかも、今後の国防体制の方向性を占う鍵となるだろう。
この投稿は石破茂の公約「自衛官の給与の早急な引き上げ」に関連する活動情報です。この公約は60点の得点で、公約偏差値59.8、達成率は97%と評価されています。