2025-05-30 コメント投稿する ▼
日本産水産物、中国が輸入再開に合意 処理水問題で日中協議に進展
日中が日本産水産物の輸出再開で合意 福島など10都県は継続課題に
中国が続けていた日本産水産物の輸入停止について、日中両政府が再開に向けた技術的な要件で合意した。これにより、輸出再開に必要な施設登録などの手続きが進められる見通しとなった。一方で、福島を含む10都県の食品に対する禁輸措置は依然として継続される。
技術要件で合意、再登録手続きが鍵に
林官房長官は5月30日、政府が開いた農林水産物輸出拡大に向けた閣僚会議で、中国との間で日本産水産物の輸出再開に必要な技術的合意が成立したと明らかにした。今後、輸出業者が中国側の認可を再び取得すれば、出荷が可能になる。
この合意は2023年8月から続いていた輸出停止に対する大きな進展とされる。停止の発端は、福島第一原発の処理水が海に放出されたことだった。
処理水への不安とIAEAの調査
福島第一原発では、事故以来たまり続けた汚染水を浄化処理し、放射性物質の一部が含まれた「処理水」をタンクで保管してきた。その総量は130万トン以上に達し、保管場所が限界に近づいていたことから、2023年8月から海洋放出が開始された。
これに対して中国政府は強い反発を示し、「核汚染水」と表現しながら、全品目の日本産水産物の輸入を一時停止した。一方で日本側は、IAEAなど第三者機関による放出水の安全性評価を重ねてきた。これまでの調査で検出されたトリチウム濃度は、世界保健機関(WHO)が定める飲料水基準を大幅に下回っている。
中国も安全性を認めた背景とは
中国の税関当局は、日本側との協議により「実質的な進展が得られた」とコメントしたが、詳細な内容は公表していない。ただ、IAEAの枠組みにより、中国を含む7カ国が福島周辺の海水や処理水、水産物のサンプル分析に参加。2024年10月と2025年2月の調査では、中国側も「異常はなかった」としている。
これらの実績を背景に、中国は日本産水産物の輸入再開に向けた手続きに入ると判断した。今後は、輸出施設の再登録が完了次第、実際の再開が可能となる。
残された10都県の輸出禁止は継続
福島、宮城、東京など10都県の食品については、今回の合意の対象外であり、引き続き禁輸措置が維持される。政府は、中国側に対し、この地域の規制撤廃を強く求めていく方針だ。岩屋外相は「今回の合意は戦略的互恵関係を前進させる一歩」とし、残された課題の解決に引き続き取り組むと表明した。
また、小泉農水相も「中国は日本にとって水産物の重要な市場。再開の合意は大きな節目」と語り、ナマコなど中国市場で人気のある品目から輸出が回復する可能性に言及した。
SNSの声:歓迎と警戒の入り混じる反応
「中国との合意は遅すぎたが、ひとまず前進。漁業者にとって朗報だ」
「トリチウムの濃度、安全基準内なら問題ない。感情ではなく科学で判断を」
「福島の人たちはいまだに差別を受けている。10都県の解除が急務だ」
「安全性を世界が確認しても、中国は政治的に利用している印象がぬぐえない」
「やっとか。でも香港はまだ止まったまま。一部だけの再開では不十分」