2025-05-30 コメント投稿する ▼
政府、ブランド農産物の種苗流出防止へ法整備強化 刑事罰導入で知財保護
種苗の海外流出に歯止め 政府が法整備でブランド保護へ
政府は、国内で育成された高品質な農産物のブランド品種について、海外への無断流出を防ぐための新たな対策に乗り出す。種や苗が正規の手続きを経ずに国外へ持ち出されるケースが後を絶たず、日本の農業競争力や知的財産の損失が深刻化していることを受けた動きだ。
30日には関係閣僚による会議が首相官邸で開かれ、林官房長官や小泉農水相らが出席し、品種保護に向けた方針を確認。これまでのルールでは取り締まりが難しかった「輸出目的の種苗の所持」にも、今後は刑事罰を科せるよう法改正を進める方針が打ち出された。
「農業の知財」守る制度強化へ
・新品種を開発した農業者や企業の権利保護を強化
・育成者権の存続期間を延ばし、収益確保を後押し
・無断の輸出を前提とした保有行為にも罰則を導入
・違法流出が多い品目(シャインマスカットやあまおうなど)に特化した監視体制を検討
これらの措置は、すでに成立している種苗法改正(2020年)の流れをさらに発展させるもので、ブランド品種を扱う農家の安心につながる。特に注目されているのは、種苗を輸出目的で保管していた場合に刑事罰を適用できるようにする点で、これにより実効性ある取締りが可能になると期待されている。
ブランド品種流出の背景と影響
日本が独自に開発した品種が、アジアを中心とする海外で無断に栽培・販売される問題はここ数年で急増。人気の高い果物や野菜は、海外で“似た名前”を使って市場に出回ることがあり、国内農家の輸出競争力が削がれている。
これにより、育成に10年以上かかるような品種の開発意欲が低下する懸念も広がっている。農業界からは「研究投資が報われる制度にしてほしい」との声も上がっており、知財の視点からの農業振興が急務とされている。
農水省、農家への負担軽減策も検討
一方で、農家側からは「許諾の手続きが煩雑になれば現場の負担が増す」との懸念も。農水省では団体を通じた一括契約の導入や、手続きの簡素化を進める方針を示している。農業と知財の両立をどう図るかが、今後の制度運用のカギとなる。
SNS上の声
「当たり前の対策。遅すぎたくらい。大事な知的財産を守ってほしい」
「農家が損する仕組みをようやく見直すんだな」
「海外に勝手に持っていかれてるのを放置してたのは問題」
「農業版の著作権保護みたいな制度をもっと周知して」
「現場の手続きが煩雑にならないよう配慮も必要」
政府の今回の法整備は、国内農業の知的財産を保護し、世界市場での競争力を維持するための一手だ。今後は、取り締まりの実効性と農家の利便性の両立が問われる。国産ブランドの信頼を守るためにも、現場の声を反映した制度運用が期待されている。