石破政権、国民の期待に背を向けた「減税見送り」
参院選を目前に控え、各党が経済政策の打ち出しに躍起になる中、石破茂首相率いる自民党は、なんと「消費減税を見送る」方針を固めた。この決定は、物価高に苦しむ庶民の感情と真っ向から対立するものであり、党内からも「理解不能」との声が噴出している。
減税を巡っては、自民党内の積極財政派の国会議員たちが、食品などの軽減税率を恒久的に0%にする提言をまとめ、5月8日には69人の署名を添えて幹事長室へ持参。だが、森山裕幹事長は「財政への悪影響が大きい」として、断固として応じなかった。
その背景には、党独自の情勢調査の結果があるとされる。調査では、与党が最低ラインの50議席を確保できそうだという見通しが示され、「この数字なら減税なしでも選挙に勝てる」という皮算用が働いたという。しかし、有権者の関心は日々移ろうものであり、春先の数字に固執した判断が命取りになる可能性も否定できない。
民意との乖離深まる与党の姿勢
今回の判断で、減税を求める有権者との間に深い溝が生まれた。
日々の暮らしの中で、「何を買うにも税金が重くのしかかる」と感じている国民にとって、自民党の対応はあまりに冷淡だ。
「この物価高の中で減税もせず、国民の生活が見えてない」
「石破さん、改革派だと思ってたのにがっかり」
「与党には投票しない。今回は減税を訴える政党を応援する」
「森山幹事長の論理は、机上の空論にしか見えない」
「政権与党の都合だけで減税判断されてはたまらない」
SNS上にはこうした厳しい声が広がっており、特に若年層や地方の生活者の不満は高まっている。
野党は減税で攻勢も、足並みそろわず
野党各党はここぞとばかりに減税を打ち出し、国民の支持を取り込もうとしている。立憲民主党は、食料品の消費税を1年間限定で0%にする案を掲げ、れいわ新選組や共産党は消費税の全廃または5%への引き下げを主張する。一方、国民民主党は、財源に赤字国債を用いる覚悟を示しつつ、一律5%まで下げる大胆な政策を打ち出している。
とはいえ、各党の政策に統一感がないのが実情だ。政策規模、期間、財源などで見解が分かれ、「一致団結して与党を追い詰める」構図にはなっていない。自民党が減税を見送ったのも、こうした野党のまとまりのなさを見透かした上での戦略とも言える。
選挙後を見据える石破政権の「次の一手」
自民党執行部の関心はすでに選挙の「その先」に移っている。仮に自公が参院選で過半数割れとなれば、維新や国民民主との連携、大連立の構想まで浮上する可能性がある。中でも注目されるのは、消費税を巡って立場の近い野田佳彦氏率いる立憲との一時的な協力だ。1年間の「限定減税」を経て、消費税を再び上げる布石にする、そんな政治的な取引が透けて見える。
一方で、野党もチャンスを掴もうと、玉木代表を中心とした「減税派連合」の形成が取り沙汰されている。ここで与党から減税に賛同する離党者を引き込めば、政権交代も視野に入る。しかし現時点では、そうした動きが目立つには至っていない。
税制を選挙の道具にしてはいけない
経済政策、特に消費税は、政争の具にしてはならない。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏も、「本来、税制は景気や国民の生活水準を反映して、柔軟に調整されるべきもの。ところが日本では、財務省の思惑と政党間の駆け引きの中で、減税も増税も政局の一部に過ぎない」と苦言を呈する。
石破政権の「減税しない判断」は、果たして国民の声にどう応えるつもりなのか。今秋の臨時国会で補正予算を組む方針を掲げてはいるが、物価高に喘ぐ国民からすれば、焼け石に水との見方もある。
参院選の結果次第では、政権の枠組みそのものが大きく揺らぐこともあり得る。政治の現場に求められるのは、「勝てるかどうか」ではなく、「誰のために政治をするのか」という原点の問い直しである。