2025-05-23 コメント投稿する ▼
改正マンション法で解体・売却の決議要件緩和 再生進まず悩む住民に新たな選択肢
住民の再生意思を後押しへ
老朽マンションの「動かない現実」に風穴をあける法改正が実現した。5月23日、参議院本会議で可決・成立した改正マンション関連法では、建物の解体や敷地売却といった再生に関する合意のハードルを引き下げる内容が盛り込まれた。
これまで、建て替え以外の解体や売却には所有者全員の同意が必要だったが、今後は「5分の4以上の賛成」で決議できるようになる。この変更によって、行方不明者や反対者が1人いるだけで再生が止まるといった事態を回避しやすくなる。
“空中分解”する前に決断を
全国には築40年を超えるマンションが急増しており、管理や修繕が困難になっている物件も少なくない。中にはエレベーターや給排水設備の老朽化が深刻で、安全面に不安を抱える住民も多い。そうした中、「再生を決断したくてもできない」という声が各地で上がっていた。
今回の法改正では、耐震性が不足しているなど安全性に問題がある場合は、さらに要件が緩和されて「4分の3の賛成」で進められるケースも設けられた。これにより、住民たちが話し合いによって未来を選びやすくなる環境が整ったといえる。
所有者不明問題にも対応
もう一つの重要なポイントが、「所在不明の区分所有者」の扱いだ。これまでは連絡が取れない所有者も議決の母数に含まれていたため、合意形成が難航する要因になっていた。改正法ではこうした所有者を一定の手続きを経て議決権から除外できるようになり、事実上の“機能不全”を解消する効果も期待される。
SNSでは歓迎と懸念が交錯
ネット上でもこの改正を巡る反応が広がっている。
「ようやく現実的な選択肢ができた。何もできずに壊れていくのを見ているのはつらかった」
「行方不明の1人がネックで何も決まらなかったウチには朗報」
「でも、解体したくてもお金がないのが現実。国はその支援もしてくれるのか?」
「今後は、高齢の所有者をどうサポートするかも大事」
「再生ありきじゃなく、残す選択肢も残してほしい」
制度は整った、次はどう動くか
ルールが変わったとはいえ、現実には資金面や住民間の調整、将来の居住先など、考えるべき課題は山積している。マンション再生には粘り強い合意形成と、行政や専門家による支援が不可欠だ。制度が後押しする今、管理組合や住民自身が主体的に動き出せるかが問われる。