2025-05-13 コメント投稿する ▼
年金改革法案、今国会で成立目指す 自公幹事長が方針一致 パート厚生年金拡大が焦点
年金改革法案、今国会での成立を目指す
自民党と公明党の幹事長は13日、東京都内で会談し、年金制度改革法案を今国会で成立させる方針で一致した。提出が大幅に遅れていたこの法案は、高齢化の進行に対応し、年金給付水準を改善することを目的としている。政府は早ければ16日に閣議決定し、国会に提出する考えだ。
石破茂首相は12日の衆院予算委員会で、与党内での最終調整を進め、週内の提出を目指すと表明していた。年金制度の見直しは国民の生活に直結するため、迅速かつ丁寧な議論が求められる。
法案の主な内容と背景
今回の年金改革法案は、少子高齢化に対応し、年金給付水準を維持・向上させることを目指している。以下が主なポイントだ。
* パートタイム労働者らが厚生年金に加入できる条件を緩和。年収106万円以上や従業員51人以上の企業規模要件を撤廃。
* 非正規労働者にも厚生年金の適用を拡大し、将来的な年金受給額を底上げ。
* ただし、企業が負担する保険料が増加するため、中小企業からは反発も予想される。
当初は基礎年金(国民年金)の底上げも検討されていたが、自民党内の一部から「厚生年金の積立金を流用するべきではない」との意見が強まり、削除された。この変更により、法案の構成は大幅に見直された。
参院選を控えた政治的駆け引き
夏の参院選を前に、年金制度改革が選挙の争点となることを懸念する声もある。特に自民党参院側では、年金改革を巡る議論が選挙戦に影響することを危惧し、調整が難航していた。
野党は早期の法案提出を求めており、年金問題を選挙での争点に据える構えを見せている。立憲民主党の野田佳彦代表は「国民の安心を守るための改革が、選挙目当てで先延ばしされるのは問題だ」と批判。維新の会も「配るならもともと取らなければいい」と政府の対応を非難している。
年金改革は国民生活にどう影響するか
今回の年金改革は、特に非正規労働者にとっては将来の年金受給額を増やす可能性があるが、一方で企業の負担は増加する。中小企業からは「追加負担は難しい」との声も上がっており、実際の運用にあたっては課題が残る。
また、基礎年金の底上げが削除されたことにより、低年金の受給者への直接的な支援は見送られた。この点についても、今後の国会審議で議論が続く見通しだ。
政府・与党は迅速な成立を目指しているが、野党との対立や選挙戦をにらんだ駆け引きが続きそうだ。