2025-05-11 コメント投稿する ▼
日英、個人データ移転を拡大へ 医療研究加速に期待 – 2026年春から新制度導入
日英、個人データ移転拡大へ - 医療研究を後押し
日本と英国は、個人情報を含むデータの相互移転を拡大する新たな枠組みを導入する方針を明らかにした。これにより、これまで企業間に限定されていたデータ移転が、研究機関や行政機関にも広がることになる。両国は2026年春を目標にこの枠組みを施行し、医療研究や創薬分野での国際協力を一層促進することを目指している。
従来、日英間のデータ移転は企業同士の取引に限られており、研究機関や行政機関がデータを共有するには煩雑な手続きが必要だった。しかし、新たな制度では、これらの機関も簡易な手続きでデータをやり取りできるようになる。これは、希少疾患の治療法開発や感染症対策など、医療分野での国際共同研究を加速させると期待されている。
この新たな枠組みは、特に医療分野での革新的な研究の進展に寄与するとみられている。たとえば、日英の研究機関は、患者データやゲノム情報を効率的に共有し、AIを活用した診断技術の開発や新薬の研究を進めることが可能になる。これにより、両国の研究者はリアルタイムでデータを交換し、迅速に成果を共有することができる。
日英のデータ移転は、国際的な個人情報保護の枠組みの中で進められている。英国は、EU離脱後もEUの一般データ保護規則(GDPR)に準拠した「UK GDPR」を採用し、日本を含む42カ国・地域に対し個人データの自由な移転を認める「十分性認定」を維持している。一方、日本もEUおよび英国との間で相互の十分性認定を取得し、自由なデータ移転を可能にしている。今回の拡大は、こうした国際的なデータ移転の動向をさらに強化するものである。
一方で、プライバシー保護やセキュリティの強化も重要な課題となる。データの不正利用や漏洩を防ぐため、日英両国は厳格なガイドラインと監視体制を構築する必要がある。また、研究機関や行政機関の関係者への新制度の周知徹底も欠かせない。
今後の焦点は、この新たな枠組みが実際にどのように運用されるかにある。特に医療分野では、迅速なデータ共有が新たな治療法の発見につながる可能性が高く、日英両国の協力は国際的な医療研究の発展に大きな貢献をもたらすだろう。