2025-04-28 コメント投稿する ▼
岩屋外相、バングラデシュ支援でIOMに5億円拠出 USAID減少の資金不足に対応
岩屋外相、IOMに5億円支援 バングラデシュ避難民支援で日本の存在感強調
石破政権下の岩屋毅外相は27日、バングラデシュでミャンマーからの避難民を支援する国際移住機関(IOM)に対して、約5.02億円の無償資金協力を実施すると発表した。背景には、米国国際開発庁(USAID)の支援減少による資金不足があり、日本政府が国際社会における支援の空白を埋める狙いがある。
バングラデシュの厳しい現状と日本の対応
バングラデシュには、主にミャンマーのラカイン州から迫害を受けたロヒンギャ族を中心に、100万人以上の避難民が滞在している。コックスバザール県を中心としたキャンプでは、住環境の悪化や治安悪化が深刻な問題となり、周辺の地元住民(ホストコミュニティ)にも負担が拡大している。
外務省は、「避難民の生活基盤はほぼ国際支援に依存している状況であり、支援の継続が不可欠」と説明。今回の支援は、バングラデシュ政府や国際機関との連携を強化し、地域の安定化に寄与するものと位置づけた。
無償資金協力の内容と具体的支援策
岩屋外相とIOMバングラデシュ事務所長のランス・ボノー氏は、ダッカ市内で署名式を実施。今回の無償資金協力「コックスバザール県及びバシャンチャール島における生活環境改善計画(IOM連携)」では、以下の支援が行われる。
- 避難キャンプやバシャンチャール島における避難用地の管理・開発
- 簡易住居の整備、安全な保護スペースや緊急避難所の設置
- 調理用液化石油ガス(LPG)の供給による薪使用の抑制と環境保護
- 野菜栽培や小規模養殖の技術研修による生計支援
- 避難民による製品販売フェアやキオスク設置による市場アクセス支援
- トイレ・浴場の整備、井戸や給水網の開発といった水・衛生分野の強化
多角的な支援により、避難民とホストコミュニティ双方の生活環境の改善と地域の持続的な安定を目指す。
国際社会で存在感を高める日本外交
近年、国際社会では支援疲れや財政難により、避難民支援への関心と資金が減少傾向にある。特にUSAIDの予算削減は、現地の支援体制に大きな影響を与えていた。
こうした中、日本政府が迅速に資金拠出を決めたことは、国際社会における日本の人道支援国としての立場を強化する意図があるとみられる。岩屋外相は、「日本は自由で開かれた国際秩序の維持に積極的に貢献する」と強調。石破政権としても、人道支援を外交の重要な柱と位置づけている姿勢が明確になった。
バングラデシュ支援を通じた日本外交の今後
今回の資金協力により、日本はアジア地域における人道支援国としての役割をさらに深めることになる。加えて、バングラデシュとの二国間関係の強化にもつながる可能性が高い。
避難民問題は長期化が予想されるため、引き続き日本政府の持続的な支援姿勢と、現地事情に即したきめ細かな対応が求められる。国際社会の信頼を勝ち取るため、日本の「地道な貢献」がますます重要になっている。