2025-04-27 コメント投稿する ▼
石破総理、ベトナム人支援を約束 日本政府発表には未掲載で波紋広がる
日越首脳会談で人的交流深化を確認
石破茂内閣総理大臣は4月27日、ハノイのベトナム共産党中央本部において、トー・ラム・ベトナム共産党書記長と会談を行った。会談では、日本に居住・学習・就労する60万人以上のベトナム人コミュニティに対する支援と、好ましい生活環境づくりを引き続き推進する方針を双方で確認した。
ただし、この点についてはベトナム政府側の発表には明記されているものの、日本政府側の公式発表には触れられていないことが判明した。
日本政府発表は安全保障・経済協力に重点
日本政府側の公式発表によれば、ラム書記長からは石破首相の訪問を歓迎する旨の発言があり、日越間の包括的戦略的パートナーシップに基づき、安全保障、経済、人的交流など各分野で協力が深化していることへの喜びが示されたという。
さらに、ラム書記長は、2025年に大阪・関西万博が成功裏に開幕したことへの祝意を表した。
特に安全保障分野では、インド太平洋地域における法の支配の重要性を共有し、経済分野では日本企業の対ベトナム投資促進について意見交換が行われたとされる。だが、日本国内のベトナム人支援に関する具体的な合意事項について、日本政府発表は沈黙を守った。
ベトナム側はコミュニティ支援を明記
一方、ベトナム政府側の発表では、石破首相とラム書記長が、日本に住む60万人以上のベトナム人への支援継続と、より良い生活環境の整備に合意したことが明確に記されている。
加えて、石破首相は自由民主党とベトナム共産党の党間協力を一層強化する方針も示した。これは日越関係を単なる政府間関係にとどめず、政党レベルでも緊密化を図る意図があるとみられる。
また、会談では、トー・ラム書記長が天皇皇后両陛下にベトナム公式訪問を招請したほか、石破総理もラム書記長夫妻に対して近い将来の訪日を招請するなど、ハイレベルの人的交流促進にも踏み込んだ。
背景にある日本国内の課題
現在、日本には技能実習制度などを通じて多くのベトナム人労働者・留学生が滞在しているが、労働環境の悪化や差別問題など、多くの課題が指摘されている。これらの問題に対する日本政府の対応が求められている中、ベトナム側の発表は日本国内に向けた重要なメッセージとも取れる。
今後、石破政権がベトナム人コミュニティ支援をどこまで具体化できるかが、両国関係の深化のみならず、日本社会全体の国際化対応力を問う試金石となるだろう。