2025-04-27 コメント投稿する ▼
政府、5歳児健診を全国普及へ 発達障害の早期発見と支援体制整備を強化
政府、「5歳児健診」普及へ本格始動 発達障害の早期発見を目指す
政府は、子どもの発達障害を早期に見つけて支援につなげるため、2025年度から「5歳児健診」の普及に本腰を入れる。自治体への補助金を引き上げ、健診に携わる保健師らの研修費も支援するなど、環境整備を急ぐ。就学前の大事な時期に、子どもたちの発達の状態を丁寧に見守り、適切な支援につなげることが狙いだ。
#
5歳児健診、なぜ必要? 発達障害を見逃さないために
いま、自治体が義務として行っている乳幼児健診は1歳半と3歳時点、そして小学校入学前の「就学時健診」だ。それに対し、5歳児健診は任意となっており、2023年度に実施した自治体はわずか14%にとどまっている。
こども家庭庁は、2028年度までに全国すべての自治体で5歳児健診を実施することを目指している。背景には、発達障害の特性は5歳ごろからよりはっきりと現れることが多く、このタイミングで気づければ、その後の支援や教育環境の整備がスムーズになるという考えがある。
発達障害は、注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)など、多様な特性を含む。厚生労働省の推計では、児童の約8〜10%が発達障害の傾向を持つとされ、早期発見・早期支援が社会全体の課題となっている。
どんな内容? 5歳児健診で見るポイント
5歳児健診では、ただ体の成長を測るだけではない。次のような項目を通じて、子どもたちの心と体の発達を細かくチェックする。
- 片足で5秒以上立てるかどうか(運動機能)
- しりとり遊びができるか(言語能力)
- 順番を待てるか(社会性・情緒面)
健診は各地域の保健センターや子育て支援施設で、原則無料で受けられる。言葉の遅れや友達との関わり方に違和感がないかなど、就学前に気づいておきたいポイントを専門家が確認し、必要な場合は医療や福祉の支援につなげる。
普及への壁も 医師不足と支援体制が課題
とはいえ、5歳児健診を全国に広げるには課題も少なくない。特に問題となっているのが、健診を担当できる小児科医や専門スタッフの確保だ。また、健診後に「要支援」と判断された子どもを受け入れる療育施設や支援体制も、地域によっては十分とは言えない。
こども家庭庁の担当者は「健診だけで終わらせず、支援までしっかりつなげる仕組みづくりが不可欠」と話す。さらに、保護者に過剰な不安を与えないよう、結果説明の方法にも細やかな配慮が求められている。
政府は、補助金の引き上げだけでなく、保健師や幼稚園教諭など現場スタッフ向けの研修プログラムも拡充し、支援の質を高めていく方針だ。
- 5歳児健診の普及へ、政府が2025年度から自治体支援を強化
- 5歳は発達障害の特性が表れやすく、就学前支援に重要なタイミング
- 健診内容は言語能力、運動機能、社会性を総合チェック
- 医師確保と支援体制整備が今後の大きなハードル