2025-04-26 コメント投稿する ▼
ガソリン暫定税率廃止で地方財政の無責任体質が浮き彫りに
ガソリン暫定税率廃止、地方に最大5000億円超の影響
ガソリン税に上乗せされる「暫定税率」が廃止された場合、地方自治体の税収が全国で合計5000億円以上減少する見通しであることが、政府の最新試算で判明した。最大減収となるのは愛知県の330億円、次いで北海道318億円、埼玉県287億円、大阪府263億円、神奈川県222億円と続く。インフラ維持や公共サービスを支える財源が揺らぐ中、各自治体は新たな財政基盤の確立を迫られている。
「暫定」の名を借りた50年超の税金依存体質
ガソリン暫定税率は、1974年のオイルショックを契機に「道路整備特別措置法」に基づき導入された。当初は緊急かつ一時的な措置とされ、短期間での終了が想定されていた。しかし、その後何度も延長され、事実上の恒久税化。2009年にはいったん失効したものの、麻生政権が再導入し、現在まで半世紀以上にわたり続いている。
地方自治体はこの「暫定」部分を恒常的な財源と位置付け、道路維持や地方交付税に活用してきた。その結果、暫定税率廃止に伴う減収幅が100億円を超える自治体は19都道府県にのぼる事態となっている。特に軽油引取税に依存する地域ほど打撃が大きく、地方経済への影響も懸念される。
地方財政の無責任体質が浮き彫りに
自治体側は「安定財源の喪失」を懸念しているが、本来「一時的」な措置であった税に依存し続けた無責任な財政運営が、今回の危機を招いたといえる。行財政改革を怠り、歳出見直しよりも安易な増収策に頼ってきた体質こそが、問われるべき問題だ。
政府・自治体ともに減収分を補う新たな財源確保を模索しているが、これではまた国民に新たな負担を強いるだけに終わりかねない。本来優先すべきは、限られた財源の中での歳出改革と、事業の選択と集中である。
今後の課題―「減税か公共サービスか」ではなく、歳出改革と国民への説明を
ガソリン暫定税率廃止によるガソリン価格の下落は、消費者にとって歓迎される一方、地方自治体の財政には深刻な影響を与える。ただし、この問題を単なる「減税vs公共サービス」の対立に矮小化してはならない。
重要なのは、暫定措置に無批判に依存してきた政治・行政の構造的な問題を直視することだ。いまこそ無駄を削減し、限りある財源で真に必要な事業に集中する改革が求められている。国民に対しても、現状と今後の対応方針を丁寧に説明する責任が、政府・自治体の双方にある。