2025-04-27 コメント投稿する ▼
石破首相、ベトナム・フィリピン訪問へ トランプ関税対策と安保連携を強化
石破首相、ベトナム・フィリピン訪問へ
トランプ関税影響調査と安全保障連携を重視
石破茂首相は27日午前、ベトナムおよびフィリピン訪問のため、政府専用機で羽田空港を出発した。今回の訪問は、アメリカが東南アジア諸国に対して新たに課す予定の「トランプ関税」への対応を視野に入れたもので、経済および安全保障の両面から日本外交を強化する意図がある。
経済成長センター・ASEANと連携強化
出発前、石破首相は記者団に対し、「東南アジアは世界経済の成長センターだ。『自由で開かれたインド太平洋』の実現においても、極めて重要な役割を果たす」と述べ、ベトナムとフィリピンを含むASEAN諸国との関係深化の意義を強調した。
両国は日本企業の製造・生産拠点として重要な位置を占める一方、アメリカによる新たな関税措置がもたらす影響も懸念されている。石破首相は「現地の日本企業から懸念や要望を直接聞き取り、今後の対米政策に生かしたい」と述べ、現地企業との意見交換に意欲を見せた。
トランプ関税、ベトナム・フィリピンに影響拡大
現在、アメリカはベトナム製品に対して最大60%、フィリピン製品に対して最大35%の追加関税を課す方針を示している。対象となるのは、特に鉄鋼、繊維製品、電気機器などで、いずれも日本企業が進出している分野と重なる。
バイデン政権時代に発動された一部関税措置を、トランプ氏はより大規模に拡大する方針を打ち出しており、「中国迂回輸出」(チャイナプラスワン戦略)を防ぐ狙いがあるとされる。ベトナム、フィリピンは製造拠点を中国から移した企業が多く、これらに対する関税強化が宣言されれば、日系企業も大きな打撃を受ける可能性が高い。
南シナ海・東シナ海問題、安全保障対話も
経済のみならず、石破首相は安全保障協力の強化にも意欲を示した。南シナ海では中国による人工島建設、軍事拠点化が進み、フィリピンやベトナムとの間で緊張が続いている。
石破首相は「力による一方的な現状変更を許さないためにも、安全保障分野での連携を一層深めたい」と述べ、ベトナムのトー・ラム共産党書記長、ファム・ミン・チン首相、フィリピンのマルコス大統領と相次いで会談する予定だ。
日本は防衛装備品の供与や共同訓練支援を通じ、東南アジア諸国との連携を強める方向にある。今回の訪問でも、防衛協力拡大が議題となる見通しだ。
個人的信頼構築へ、対面外交を重視
石破首相は今回の訪問に際し、「やはり電話やオンラインでは限界がある。個人的な信頼関係を強化するには、対面で時間を取ってじっくり話すことが極めて重要だ」と語った。
日本政府関係者によると、トランプ関税の正式発動が近づく中で、日本が現地事情を把握し、国際連携を強化するためにも「首脳レベルの信頼構築」が不可欠との判断があったという。
- 石破首相、27日羽田発、ベトナム・フィリピン訪問開始
- 現地日本企業の声を聞き、トランプ関税対応に反映へ
- ベトナム製品最大60%、フィリピン製品最大35%の追加関税見込み
- 南シナ海問題を踏まえ、安全保障協力強化も議題
- 「対面外交」で個別信頼関係を構築し、日本の国益確保を目指す